黒の死者 旧

□紅孔雀
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「………っ!!」



聖水が掛かった所から痛みが走る。

未だに動かない骸骨をはたき落とすと、部屋の隅に寄った。





「……麗矢。」



「すみません。主人が捕まって、焦りました。」




しゅんと落ち込む麗矢を見て、まだ子供だなと思い、可愛く感じた。





すぐに目線を骸骨に変える。
何が起きたのか分からないようだ。






「成仏しませんね……」




「ああ、無理矢理この世に連れてこられたらしいからな。」




「…………はい?」





驚いたように見る麗矢と、慌てて口を塞いだジスタ。





「……後であの老婆と一緒に話を聞きますから。」







軽く睨まれ、溜息が出そうになる。

だが悪いのは自分だと思い出し肩を竦めた。







何も麗矢には話していない。

自分に一番付き添ってくれてるのは彼だ。そう思い、嬉しくも恥ずかしくなる。






「…分かった。」







小さく言うと、骸骨の方へ突っ込む。

骸骨はずっと立ったまま。










足下から聖水が染み込んできた。
痛みで朦朧とするが、真っ直ぐと骸骨の方を向いた。





「残念じゃ……貴様が今正気なら楽にしてやれたのにな。」




悲しそうに呟いた瞬間、骸骨の腕を掴む。





そして、力を込めた。









「じゃあな、フィオール。」









一瞬にして火が骸骨に燃え広がる。
振り払おうとしているが、無意味に等しい。





「あ、そういえば。」





思い出したのか、骸骨に話しかける。










「呪い、返すな。」



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