黒の死者 旧
□矛盾の痕
2ページ/4ページ
「………だから何ですか。」
麗矢の言葉にセロは驚く。
その答えは予想していなかったらしい。
「悲しくないのか?故郷だろ?」
「特に愛着もないです。」
はっきりと言う麗矢を見て溜息が出そうになる。
ジスタは麗矢の言葉に不安を感じた。
フィオールが再びジスタの方を見た。
見た、と言っても頭の部分をずらしただけだ。
警戒するが反撃をしてこない。
「ま、いいや。愛着ないんだ。」
飽きたと言うようにセロは呟く。
その様子に二人は拍子を抜かした。
「なんじゃ、逃げるのか?」
「今日は挨拶と言うことで。」
セロが言った直後、フィオールがジスタに突っ込む。
慌てて避けるも腕を捕まれた。
フィオールが笑ったように見えた。
「そいつ一人でも充分だろ、今のお前は。」
セロの方向を見れば姿はない。
だが、声は聞こえる。
「いつでもお前を消せることを覚えとけ。」
≫