ナナサク

□ふたりの章
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「よぉ、おはよう桜」


家を出てすぐのバス停の前。

そこで後ろから、空に声をかけられる。


「おはよう」


私は首だけを空に向けて回し、素っ気なく挨拶を返した。


「あれ?桜、今日はバスか?」


この前は歩きだったよな、と、空は不思議そうな顔をする。


「バスじゃないよ。ただ居ただけ」


「何で?」

「何となく」


そう、何となく。

私は珍しく、バス停の前で立ち止まってしまった。


だって


バスに乗る知り合いを見てしまったから。
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