メフィスト連載

□第1話
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『続いてのニュースです。突如足場が倒れ、三人が重軽傷‥』

昔祖母はこんなニュースを見ると仕事だと家から出て行った気がする。気にしたことはなかったが、医者や看護師をしていたのだろうか‥?
先ほど夢に祖母が登場したからか昔の記憶が蘇ってくる。記憶の箱の蓋が突如開かれたのかというくらい色々な記憶が蘇ってきた。


「そういえば、いつの間にかお化けも見えなくなったなぁ‥」

昔、街を歩いているといろんなお化けに遭遇して追いかけられていた。その度に祖母に抱きついて大泣きしていた記憶がある。
大人になるにつれて見えなくなるという話も聞くがきっと本当なのだろう。

なんだか懐かしい‥
今だからこそ懐かしいと笑えるが当時は本当に怖かった。
祖母が亡くなったとき雪崩に巻き込まれたとかで遺体は戻ってこなかった。
当時はこれから一人でやっていけるのか不安だったけど祖母は莫大な遺産とこの家を残してくれた。
近所の人も助けてくれたし、教会の神父さん達も助けてくれた。本当にみんな優しい方々ばかりだ。


「‥‥っ!いたっ!」

最近ふとした時に頭痛がする。
すぐ止むのだがその一瞬だけ記憶を飛ばしそうなくらい痛い‥
病院にも行ったのだが異常無しで単なる偏頭痛だろうとのことで頭痛薬だけもらっていた。



ピンポーン

めったに誰もこないこの家に誰かがやってきた。郵便かな?でももう夜も遅いし‥そう思いながら出てみると‥

「はぁーい!こんばんは立花沙樹さん☆ご機嫌は如何ですか?!」

変な人‥
そう思い反射的にドアを閉めてしまった。


ちょ‥!開けてくださいよー!
ドアの向こうからドンドンと叩きながらそんな声がする。
よし、今見た情報を整理しよう!

白い変わったスーツにかぼちゃパンツ‥おまけにライラック色のタイツ。日本ではなかなか見かけない白いマントに頭にはシルクハットを被っており目の下のクマが特徴的な長身の男性。
年齢は見た目30代だろうか‥

家を間違えた?
しかし私のフルネームを言っていたし間違えたわけではないだろう‥でも会ったこともない人だ。そう考えているうちにドアの向こうは静かになりのぞき穴からのぞいてもさっきの人物はもう居なかった。

何だったんだろう‥
不思議に思いつつも居間に戻る。
寝る準備をしようと和室を通り過ぎる‥ん?通り過ぎる?
祖母の仏壇の前に白い物体を見た気がして恐る恐るのぞいて見た。

すると‥


「あぁ、静香さん‥あんなにお強い方だったのに‥人間とはなんて脆いのでしょう」

祖母の仏壇に向かい手を合わせながらそう言うさっきの男。
よよよと白いハンカチで目元を抑えているが本気で涙を流しているようには見えない。


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