『ひっ越し後』

□『猫のきまぐれ』…08/2/13
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「エドワード…どうしたんだ…?」

その声は、子どもをあやす色ではなかった。

「……っ」

く、と眉を寄せ、エドワードはぐるん、とマスタングに向き直った。

満面に不満を浮かべた瞳に、マスタングはふ、と視線を和らげ前髪をかき上げてやる。

「君の瞳は本当に、感情豊かで…魅惑的だな」
「〜〜〜〜」

歯の浮くような台詞に、エドワードは恥ずかしくなって顔をゆがめる。

でも。
本気なんだよな、大佐の場合。

「大佐、なぁ…」
「なんだ?」

不機嫌さが消えたマスタングの表情に、エドワードが困惑しながらも溢れてくる感情の熱さを感じて思わず腕をマスタングの体に回す。

「天の邪鬼だな。素直に甘えたらいいのに」
「…甘えてたと思うけどなぁ、俺的にはかなり」

急に、ぐりぐりと、マスタングの首元に頭や顔で猫のように懐きながら、エドワードは本当に猫が鳴らすように喉がなりそうな気分だった。

気持ちいい。

「ん〜ろぉい〜」
「猫のようだな」

どちらかと言うと犬がじゃれるくらいの引っ付きようで、ちょっと笑ってマスタングがエドワードの体を引き寄せると、エドワードはうつぶせの体勢から体を起こし、ブランケットを引っ張りながらマスタングの膝の上に乗り上げて唇を寄せてくる。

「んー、んん〜っ」

マスタングの両脇から背に回した手でぎゅう、と抱き付き、エドワードは下からマスタングに口付けて甘えた声を聞かせた。

この先に進みたいというより、触れ合っていたい。くすぐってみたらどうかな。と唇を離し頭を揺らしてマスタングの首をくすぐった。

「…ふふ、くすぐったいな」
「…戯れたいんだよ!いーじゃん…。戯〜れ〜たぁいぃー。ロイロイロイー」
「最初からそい言えばいいだろう?ん?」

エドワードがあまりにストレートに甘ったれてうんうんと体を揺らして見上げてくるから、マスタングはふふ、と嬉しそうに目を細めて髪を撫でる。

「だってなぁ〜…わかんねぇよ、さり気なく、とか」

今度はひし、と抱き付いて思い切りマスタングの匂いを吸い込み、安心したように腕の力を抜く。

「…まぁ、確かに?私を振り回していたのは、君としては十分甘えていたんだろうな」

エドワードの頭に軽く顎を乗せて、マスタングはエドワードを膝の上に抱え直す。
お互いの体がピッタリとくっつくと、エドワードは満足そうにマスタングの肩に頭を乗せる。

「だって、大佐が不機嫌だったじゃん」
「君が期待を持たせるだけ持たせて身を返すからだろう?体を洗ってくれと言っておいて、やっぱり止めた、はかなりキツかったぞ」

頭を肩に乗せたエドワードが見上げている。マスタングは髪をなでながら、そうだろ、と額に口付ける。


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