『ひっ越し後』
□『副産物』A
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「えっと。どうしよう」
これ以上入っていいものかわからないが、まぁ居るのは兄と見知ったマスタングだから。
そして足場を気にして、一歩を慎重に踏み出した時。
「んん…っ。大佐…、ふぁ…っ」
「ー…?!」
アルフォンスの足が固まった。
「…ああ、かわいい顔をして…。エドワード…」
「―っっ」
確実に知った声が、全く知らないものとしてアルフォンスの耳に届く。
「…ぇっと…ぇぇ…?!」
心の中では叫びながらアルフォンスが落ちそうなシャンプーを慌てて持ち直す。
軽く水を叩く音。
「ほら、しっかり掴まらないと…機械鎧が湯に落ちてしまうだろう…?」
「じゃ、ぁ…っ。やめ…っっ」
「やめて…いいのか?」
「んあ…は、ぁあ…っ」
うわ、うわ…!
湯気に籠った声に明らかな濡れを感じ取ったアルフォンスは声を出さずにに悲鳴を上げる。
えー?!
どうしよおおぉぉ。
兄とマスタングがどうこう、というのと、こんな在らぬ状況に居合わせてしまった事に、あわあわといない誰かに助けを求める。