『ひっ越し後』
□膝まくら(15歳以上推奨)
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「はぁ…」
横になっていたベッドで、エドワードが枕を抱えてため息をつく。
「…」
その枕をむんずと掴んで壁の方へ放り投げ、頭をかきながらベッドから起き上がった。時刻は22時を少し回ったところ。
カーテンを引いていなかった窓が白くなるほど、部屋は冷え込んできていた。ベッドサイドの関節照明だけがオレンジの暖色をほんのり浮かべている。
「おっせー…なぁ」
待ち人は、まだ帰って来ない。
んー、と眉間にシワを寄せ、自分がその相手を待ちわびていることにイラつきを感じてガックリ頭をたれた。
毛布を抱え込んで寝室のドアを見つめる。そろそろ3時間が経つ。
「…?」
自分を包んでいた毛布に顔を埋めると、主の香りがスウ…ッと鼻をくすぐり、ふっと自分の気持ちの浮き立ちを体にも感じ、毛布をめくる。
「な…?!」
とたん耳まで真っ赤になってエドワードがベッドの中に深く潜り込んで体を丸めた。
「何で…っ」
毛布に潜った事で香りは増し、なおさら体は反応して、グッと、両手で立ち上がりそうなそれを押さえ込んだ。
「…っくっそー…」
顔が熱くなる。
ギリッと歯を噛み締めてどうにかやりすごそうと耐えた。
久しく味わう事のなかった触れ合いを、待ち切れないような自分が恨めしい。