『あくまでいちゃラブなロイエド』

□『可愛げ』
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「何だ、元気そうじゃん。つまんねー」
「何だね、その挨拶は」

エドワードが、け、と吐き捨てることにマスタングが苦笑いをしながら執務机に封筒を置く。

「何、それ」
「いや、まぁ少し資料をまとめておいたよ。…役に立つといいが」
「へえ、やっぱ貸しは作っとくもんだな」

エドワードはにや、と笑いながらもサッとその封筒を掴み上げて中身を覗き込む。
マスタングは机に頬杖をついて眉を寄せた。

「別にそういうわけじゃない。素直に礼を言ったらどうかね、まったく君は可愛くないな」
「何考えたら俺に可愛いとか思えるわけ?」

しばし見合い、マスタングは深く椅子に沈む。

「まぁ……もらっとくよ」
「ああ」

中身に十分な興味を引かれたのか、エドワードの表情が明るくなる。それに満足してマスタングもくす、と笑った。
エドワードのかわい気は、そんなところだ。本人は知らないだろうが。
嬉しそうな顔を素直に見せはしないがそれが表情の端にでも見れるとついマスタングも嬉しくなってしまう。

「今日はもう帰るのかね」
「んー…何で」
「市内に出るが、一緒にどうかと思ってね」

お供だったら居るだろうが、とエドワードがまた毒づく。

「食事でもしようと誘っているつもりだったんだが…?」
「なおさら他あたれよ。いくらでも居るって言ってんじゃん、いつも」

エドワードはつーんとそっぽを向いてソファの方へ行ってしまう。
マスタングはかしかしと頭をかき、どうもうまく誘いに乗ってくれないエドワードに困ったように笑みをこぼす。
それでも執務室から出て行くわけでもなく、うきうき気分を隠しきれない様子でソファに座り封筒の中身を出し始めるエドワードを見てマスタングはうずうずと構いたい衝動を抱えて椅子から立ち上がる。

「興味を引いたかな?」
「あ?まあ、少しでも必要だと思うからあんたがくれるんだろ?読んで価値なかったら捨てるからな」

手厳しい事を言いつつエドワードが上目遣いにマスタングをにらむ。

「好きなようにしたまえ」
「―っ何だよ!寄るなよ!」

ソファに座ろうとしたマスタングをどかっと蹴飛ばし、エドワードが慌てたように飛びのく。
マスタングはそのエドワードの顔がかすかに赤くなっているのを見つけ驚いた。

口の悪さも態度もいつもと変わらないのに、気まずそうな瞳が視線をそらすのが妙でマスタングはしばらくその意味を探った。
子どもの頃から異性の自分に対する態度と照らし合わせる。そして頭の中でぴた、とある理由に行き当たった。

「あ」
「あ?」

マスタングの声にエドワードが怪訝そうに振り返ると、ずい、とマスタングがエドワードの鼻先に顔を寄せた。

「ばっかやろ!寄んなって言って…っ」
「鋼の、私の事が好きなのか?」
「はああああ!?」

あまりにさらっとおかしな事を聞かれ、エドワードが目尻を吊り上げて叫び声を上げた。
エドワードの大声に顔をしかめながらもマスタングはエドワードの隣に座りふむ、と顎に手を当て色々と思い返すように思いを巡らす。

「な、な、何、言って」
「そうか…。そういう事か」
「何がそういう事なんだよ!?」

明後日の方向を見て一人納得しているマスタングにエドワードがバンバンと封筒でソファの前のテーブルを叩くがマスタングは一向に聞いている様子はない。

「私は構わないがね」
「だーっかーっらー!!違ぇっつんだよ!!」

そうかそうか、とマスタングがエドワードの頭を撫でた。それを振り払いながらエドワードが顔が熱くなってくるのを止められずにうなる。

「食事に、行くね?」
「行かねーっつの」
「さて、予約でもしておくか」
「行かねーっつってんのに!聞いてんのかボケ!」

さっさと立ち上がって電話を掛けようとしているマスタングにエドワードが慌てて飛びつく。

何でそういう話になるんだ。

受話器を持ち上げるマスタングの腕を思い切り引っ張るとその勢いでマスタングが振り返る。

「おっと…」

よろけそうになってマスタングがエドワードに寄りかかり、エドワードがびくっと飛び上がった。
マスタングに抱きつかれる体勢になってしまってエドワードは心臓が跳ねる。

「それはまだ早いと思うぞ」
「……っっ何がだ―――!!」

そのまま抱きしめられそうになってエドワードがマスタングを突き飛ばした。

「そういう事は食事の後で」
「―――!!」

くす、と肩越しに笑って瞳を細めたマスタングが行きつけの店に電話を掛ける姿にエドワードは真っ赤になって絶句する。











→ ハボロイの原稿書いてる間に挟んだ話の発展系(^^;ついロイエド思考にハマッてしまったので。だから前後全然わからないっすね、唐突に始まって終わる…。
MAGU

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