『あくまでいちゃラブなロイエド』

□『基本的なこと』
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「基本は口だろ、口」
「ああ〜?だってそんじゃ足んねーじゃん」

柄も悪く外の喫煙所で座り込むハボックとブレダ。

「でも、どーやったらイイのかわかんじゃね?やっぱ」

きひひ、とくわえタバコで笑うハボックに、ブレダが、まぁ、そうか、と天を仰いで煙を吹く。

「お」
「大将」

顔を上げたブレダが目の端に映ったエドワードを見つける。

「な〜に、話してんだよ。またえろい事話してんだろ、昼間っから」

呆れた大人を見る目で、エドワードがはぁ、とため息をつく。

「あのな、まだ自分でコクぐらいしか知らない子どもに言われたかないって」

「はあ?」

エドワードの対応にハボックがバツが悪くなって思わず言ってしまうと、カチンときたエドワードがズン、と二人の間に座り込んだ。

「何の話!?」
「ぅお…っ」

ギロ、と睨まれブレダが眉を引きつらせる。
また変なコト吹き込むとホークアイからどんなお仕置きがあるかわからない。

「…お〜い〜。ハボ、どうすんの」
「あー…。別にいんじゃねーの?聞くぐらい。実践があるわけでもねぇだろ」

まぁ、聞いたところで、意味がわからないんじゃないかしら、とハボックは困りながら頭をかいた。

「で?」
「……」
「…」

にまっと笑うエドワードに、二人は顔を見合わせて、う、と止まった。

どっちが話すんだよ、とお互いが相手に押しつけようとしている中で、そもそも言い出したハボックがブレダの圧力に負けた。

「何だよ」
「…ぉー…」

話が進まず、ハボックががっくり頭を垂れている姿にエドワードがむ、と顔をしかめる。

「…あー、だからね、大将…」

エドワードを手招きしてハボックがタバコを灰皿に放った。

「……」
「…????」

ブレダは、はは、と空笑いをしながら新しいタバコに火を付けて、ハボックがエドワードの耳元でいらん知恵をつけているのを横目で見ている。

「…んで、男同士のばやいね、入れる場所が違うんだ。まぁ…大将の場合、女でもどこだかわかんないんだろうけど…」
「……」

何の言葉もないまま聞いているエドワードに、ハボックは話をいったん止めてその顔を覗き込んだ。


「エドー。聞いてんのかぁ」
「うぇっ?…あ、ああ」

ハボックが軽く声をかけたつもりだったのに、エドワードがビクッと顔を上げたので、肩を叩こうとしていた手を止めた。
明らかにエドワードは動揺している。

「あー…。…つ、続き、聞く、か?」
「え、うん。まぁ」

あははははは、とひっくり返りそうな声でエドワードとハボックが笑う。

何だ、何でこんな動揺してんだ、大将。

いくら経験がなくとも、エドワードくらいの年齢なら嫌でも耳年増になるはずで、そんなに驚くかな。
いや、やっぱり男同士ってのが、エグかったか?
ハボックがちら、とブレダに助けを求める視線を送る。

なんだよ、とブレダが顔をしかめ、言い出したのはハボックなんだから、自分でどうにかしろ、と顎をクイ、としゃくる。

「聞く…?マジで」
「…ああ」

ハボックの最後通告に、エドワードがひく、と口を引きつらせて笑う。

怒りに似たピリッとするオーラに、ハボックが再び頭を垂れる。
頬杖をつき、ハボックはどうしたもんかとうなる。

「んで?」
「あーうん」

せっかくのわい談がすっかり子どもに踏み荒らされてしまった。
最近は忙しくてそんな色気もないものだから、少しくらいくだらない笑い話をしようと思っていたのに。

眉を上げ小さくため息をつくハボックは、真剣な顔でこちらを見ているエドワードと目があい、その、子どもが恐いお話の結末でも待つかのような表情に、ピコと悪戯な気分が頭をもたげた。

フフン、と火の付いていないタバコをくわえハボックが立ち上がると、エドワードの腕を掴む。

「何…!?」

引っ張られてバランスを崩すエドワードの体を、背の高い筋肉質なハボックが軽々と引き寄せた。

「んで、こう、かな?よっ…と」
「うわっっ」

脇に入れた手に力を入れて持上げられ、エドワードが宙に浮いた。エドワードは慌ててハボックの両腕を掴むと、ハボックがそのまま子どもを抱っこするように腰を引き寄せて抱え込む。
両足を開いた状態でハボックに抱えられ、足元のおぼつかなさに思わず相手のウェストにガシッと足を回す。

「そ。そんでー…」
「放…っ」

エドワードの制止をまったく聞かずに、自分の体にしっかり足で掴まっているエドワードの背中に両腕を回したハボックが腰を落として体を少し前に倒す。

そうすると、ちょうどハボックの足の付け根にエドワードの尻が乗る感じになって、雰囲気的には男女のそれに似ている。

「もちっと、足あげてみ」
「は?あし?」

呆気にとられていたブレダが、思わず吹き出す。

「足〜?」

落ちないようにハボックの首に腕を回しているエドワードが、背中に回っているハボックの腕に体重を預け、意味がわからないまま両足を上げた。
それを確認したハボックは、にや、と笑ってエドワードを抱え直すといきなり体を揺らした。




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