『あくまでいちゃラブなロイエド』

□『基本的なこと』
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後日。
レストランの一角。

「そうだ、鋼の」
「なんだよ」

目の前の食事に顔を輝かせるエドワードにマスタングが特筆することではないが、と前フリをする。

「基本的なコトを伝えておくとだね」
「うん?…何!?」

フォーク片手にうずうずしているエドワードに、食べていいから、と促してマスタングもフォークを手に取る。

「いっただきまー…」
「まぁ、口を使うのがオーソドックスだと言うのはまちがっていないよ」
「?!??!!」

ガチッとエドワードがフォークを噛んで目を丸くする。

マスタングは涼しい顔でフォークとナイフを動かして鶏の香草焼を一口大に切り取る。それにナイフで軽くソースをつけると、フォークを口から出したものの、今度は開いた口がふさがらなくなって目一杯に驚いているエドワードの口の前に差し出す。

「…あとは」

いきなりこんな公共の場で話を持ち出され、食べるどころではないエドワードに、マスタングは鶏肉を押し入れる。

「む、ぐ…っっ」

とりあえずエドワードが手で口を押さえ、モゴモゴするのを見ながら、マスタングはフォークを持った手を上に組んで顎を乗せると、涼やかに微笑んで首を傾げる。

「結合場所が女性より奥の方だから、ハボックのやり方より、背位…後からの方が、一般的だと思うがね?」
「…ぶ、は…ッ何…!?は!?」

見事なまでにエドワードが吹き出しむせ込んで突っ伏した。

「ああ、でも」

ナフキンを持りあげ、マスタングがエドワードの頬に当てて顔を上げさせた。
そのナフキンを掴んでエドワードが怒鳴るにもむせて言葉が出ないまま、目の前のマスタングをぐぐ、と上目遣いに睨む。

「私としては…君の顔が見れないのは困るから、正常位がい……んッ」

エドワードがバシッと勢いよくナフキンをマスタングの顔目掛けて投げ付けた。

「てんめ…っゲホ…ッな、に言い出して…っっ」

むせて息がままならず苦しいのと、マスタングのあくまで平静な態度での話の内容への驚きに顔が極限まで赤くなる。

「…ちゃんとそれ用のジェルやローションがあるようだから…心配しなくても大丈夫だ。何より私は紳士だからな」

マスタングは自分の分の鶏肉を整えて口に運ぶ。

「あのなー?誰も聞いてねーだろ?それになんで俺が心配しねぇといけないわけ!?」

片肘でテーブルに乗り上げ、エドワードが眉をひくひくとさせてマスタングを威嚇する。

マスタングはふふ〜ん、と笑いながら口元を拭き、エドワードを見やる。


「まぁ、だから基本的には、男女の役が分かれるのでね」
「だからなんで!?その言い方だと俺が…っ」
「私はそのつもりだが」

何か問題があるのか、とマスタングは小さなバスケットに盛られたパンを取る。

「食べなさい。体力を使うから」
「はい??」

にやり、とするマスタングに、エドワードは目をパチパチさせる。

「私の基本は…、一晩最低3回だからなぁ。君がスタミナ不足では困るよ」

3、回!?
何が!?

エドワードが思い切り椅子の方へと体をそらした。

「〜〜〜!?」

知っている限りのそういった知識を頭で集結させると、女性の裸となまめかしい表情、そしてうわずってあられもない嬌声…、それらがごちゃっとなって男女の姿が自分とマスタングにすり変わった。

「う、わわ、う、わ…!?なん…っ」

いきなりの展開にエドワードが苦情もぶつけられずに目を回す。

「基本的なコトを伝えただけだよ。何も今夜の話をしているわけじゃあない。…お望みなら、いくらでもお相手いたしますよ?鋼の錬金術師殿」

クス、とマスタングが鼻で笑う。

「く…っそー…っ。人の反応見るなんて、きったねーぞっ」
「いや、本当のコトだ。…まだ、とおもっていたのだがね、イロイロ君が耳年増になって変な知識ばかり集めてしまう前に、という私の愛情だよ?」


マスタングはあくまで食事を続けながら、エドワードを見る。

「それに」
「?」

これ以上まだ言うか、とエドワードが睨む。

「そろそろ私の方が、我慢の限界でね。これだから子どもを相手にするのは嫌なんだが」
「〜〜〜〜ッ」

はぁ、とため息をつき、ポン、とナフキンをテーブルに放るマスタングにエドワードがギリッと歯を鳴らす。

ほんとに、こいつといると色んな意味で疲れる!

「…惚れてしまったものは仕方がない。ゆっくり、イロイロと」

惚れてしまった、と言う言葉にエドワードがカッと顔を赤くして、先の言葉を次ぐマスタングに油断した。

「教え込まないといけないようだから。焦らずに。…イロイロと」
「ーっ」

何を、教え込まないとなんだー!

「お、俺は男なんですけど!?」
「ああ、よくわかっているよ?」
「じゃあ、逆は?有り得るだろ!?」
「ない」
「何で!?」

即答され、エドワードがテーブルを叩く。

「んー…難しい事だが、ないな」
「な、ん、で!?」

「…経験上、かな?」
「は?」

ふむ、と一人納得してマスタングは食事を進める。
エドワードは怪訝な顔でマスタングを見ながら、仕方なくフォークとナイフを手にする。

「イロイロって、何だよ」
「色々」

ちょっとね、と含み笑いをするマスタングに、エドワードはぐ、とフォークを握り締める。

ああ、もう。

これだから。

「ムッツリ。変態オヤジ」
「失礼だな、君は。口のききかたも教えないといけないんだから、困ったものだ。ん、…使い方か?」
「!!」

また一人で頷くマスタングに、エドワードがギギギギ、と歯ぎしりして椅子にのけ反って頭を抱える。

「…ん、がぁー!!!」
「静かにしたまえ。食事中だ」

「ーっっっ」







マスタングの話が現実になるまでにはまだ、少し時間がかかる。










→や、まぁ、エドもね、男の子だし。
ハボエドじゃないっすよ…(汗)! MAGU
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