Cool Blue

□片割れ月に鴉が詠う
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(この任務が終わったら、奥州まで逢いに行ってこようかな…)

小十郎には「今月中は政務が忙しいから逢いに来るな」と言われていたのだが、
こうして顔を見たくなってしまったものは仕方がない。

(忙しそうなら邪魔しないように、顔だけ拝んで帰ってもいいんだし。
 …よし、決めた!)

佐助は奥州へと小十郎に逢いに行く事を心に決めると、まずは目前に迫る任務を終わらせるため、再び木の枝を蹴って森の奥へと消えていった。



   * * *


佐助と小十郎の関係は、佐助に言わせるなら『単なる遊びの関係』だった。

気が向いた時にふらりと小十郎の元を訪れ、一夜限りの快楽を愉しみあう。

後腐れもなく、余分な感情も持たず、そしてこの関係を誰かに明かす事もなく。
それが二人の間に出来た暗黙のルールだった。


なぜ小十郎を相手に選んだのかと訊かれれば、「ちょっとした気まぐれだよ」と佐助は答えただろう。

ただ、いかにも生真面目で堅物そうな小十郎を自分の力でオトしてみたくなったのだ。



「・・・ねぇ、片倉さん。
 このままアンタを俺ナシじゃいられなくさせてやろうか?」

仄暗い閨の中、腰の上に乗ってきた佐助が愉しげにそう囁きながら小十郎に口づけると、小十郎も同じ微笑みで佐助に口づけを贈りかえす。

「ただの気まぐれな遊びのくせに、この俺を中毒にさせようってのか?
 …ずいぶん我儘なヤツだな」

佐助の浴衣を解きながらはだけた胸元に吸いつくと、佐助が僅かに身体を揺らす。

「そんな事言ってるけどさ、片倉さんだって今までにたくさん女を泣かせてるんじゃないの?」

「さぁな。覚えてねぇ」

「ごまかすなよ。その容姿にその性格で、しかも腕っ節も強くてさ、もし俺が女だったら本気で片倉さんに惚れてたかもしれないぜ」

吸われた肌に赤い色を咲かせた佐助が、今度は小十郎の浴衣を解きにかかる。

「そういうお前こそ、俺以外に同じような遊び相手が何人いるんだ。
 全部引っくるめたら両手でも足りないんじゃねぇのか?」

頬を撫でながらそう訊くと、佐助はその手を掴んで自分を愛撫してくれる指に口づけた。


 

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