Cool Blue

□七月七日の恋物語 -小十佐編-
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それはまだ、小十郎と佐助が恋仲になる前の話。


二人の主人である伊達政宗と真田幸村が恋仲同士になってからは、それをきっかけに伊達と武田が同盟関係を結び、
互いの間では小競り合い程度の争いでさえほとんど起こらなくなっていた。

そして佐助も信書や密書のやり取りのために、しばしば奥州を訪れるようになっていたのだが…
政宗は甲斐から佐助が来訪したと報告を受けても、「幸村じゃねぇのかよ」という至極我儘な理由で対応を毎回小十郎に任せっきりにしていた。


「…いつも悪いな、猿飛。
 同盟国からの使者となれば、本来は城主である政宗様が応対すべきなんだが…」

「そんなの気にしなくていいって、正直俺も竜のダンナより片倉さんの方が気兼ねなく話せるしさ。
 それに『いつも上司の我儘に振り回されてる』って立場も一緒だから、片倉さんの苦労もよくわかってるしね」

佐助が苦笑いを浮かべながらそう話すと、向かい合っている小十郎も同じ表情でため息をついた。

「…全くだな。
 以前珍しく真田が使者としてこの城を訪問した時は、政宗様自ら迎えに出てずっと付きっきりで歓待していたんだが…」

最初政宗に『武田の使者の到着』を報らせた時は、佐助と思ったのか興味なさげに「後は任せたぜ」とだけ命じたのだが、
小十郎から「使者は真田幸村ですが…」と聞くが早いか、政宗はもう部屋を飛び出していたらしい。

「あ〜…なんかすっごく想像できる気がするよ、それ…」

「まぁ、その恋仲のおかげで武田を敵に回さずにすんだのは有り難い。
 武田の騎馬隊と忍隊は敵に回せば脅威だが、味方につければこれほど心強い援軍はないからな」

「そりゃどうも。今の言葉、甲斐に戻ったら大将と旦那にも伝えとくよ。
 …んじゃ役目も済んだし、俺はそろそろお暇させてもらおうかな」

「あぁ。…またな、猿飛」

次もきっと相手をするのは政宗ではなく自分だと暗に予告した小十郎に、
佐助も適当に手を振り返して相槌を打つとそのまま姿を消した。


 

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