Cool Blue

□流れ星とひざマクラ。 -伊真編-
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「そういや、噂は聞いてるぜ。今度の戦も時間はかかったが上々だったみてぇだな。
 …けどよ、お前の事だからまた無茶してどっかに怪我なんかしてねぇだろうな?」

「それなら大丈夫でござるよ。
 某、政宗殿を心配させるほどの大きな傷は受けておりませぬゆえ」

幸村のように戦場で常に最前線を駆けまわる身としては、多少の怪我まで全く負わずに済むというのは不可能に近い話だが、
それでも政宗は少しだけ不満そうな表情をした。

「…まぁ、怪我の程度は星降りが終わった後でゆっくりと『確かめる』つもりだけどな。
 それに、静養も兼ねて数日はここに滞在できるんだろ」

「一応…そのつもりでござるが…」

幸村が続きを言い淀んでいると、政宗は幸村が言おうとした事を先に教えるフリをした。

「心配しなくても、静養ならちゃんとさせてやるさ。
 今回の滞在中は昼の手合わせはナシってコトにしといてやるよ。それでいいんだろ?」

「……」

それ以上は絶対に譲らないぜ、と言外に釘を刺す政宗の笑顔に、幸村は肯定も否定もできず、ただ無言で見つめ返しただった。

「今さら気兼ねするような仲でもねぇんだし、ゆっくりしていけよ。
 …それとも、別の『手合わせ』でも良けりゃ昼でも――もちろん今からでも歓迎してやるぜ?」

幸村が自分の言葉に恥ずかしがったり困ったりと正直な反応をするのが面白いのだろう、
政宗はわざと返答をかえしにくい一言を付け加えては、幸村の表情を眺めて楽しそうに微笑っている。

「うぅ…」

何か話の向きを変えようとして幸村が新しい話題を探していると、
さっきから気になっていた重箱が自分の隣に居座っているのがたまたま目に入った。

「そ、それより政宗殿、この重箱は…某が開けても良いのだろうか?」

「ん? あぁ、いいぜ」

幸村が内心わくわくしながら蓋を取ると、そこには…
予想していた通り、見た目にも美味しそうな団子が行儀よく並んでいた。

蓬、三色、小豆に御手洗…と彩りも鮮やかで、味を想像しただけでも幸村は早速腹が鳴りそうになってしまう。


 

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