Cool Blue
□流れ星とひざマクラ。 -伊真編-
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「ここにはオレたち以外、誰もいねぇんだぜ。
これくらい別にいいだろ?」
「し、しかし…」
両脚に感じる重みがどうにもむずがゆいのか、幸村はそれとなく逃れられる言い訳を探そうとしたが、
それよりも先に政宗が幸村の心を揺らす言葉を口にした。
「もう一ヵ月以上も、愛しい恋人に逢えずに待ち焦がれてたんだぜ。
その間、オレがどれだけツラいストレスを溜め続けてたか…だから、今夜はオレに少しくらい甘えさせろ」
「…愛しい御方に逢えぬのが辛かったのは、政宗殿だけではござらぬよ。
それに某は、政宗殿には甘えられるよりも甘える方が好きなのだが…」
幸村の呟きは政宗を内心で嬉しがらせたものの、あえてそれには返答せず、
政宗はさらに幸村を逃げられなくするためのこんな提案をした。
「それとも、後ろからずっとオレに抱きしめられてる方がいいか?
ただし、オレの手が勝手にお前の浴衣の隙間に潜りこんじまうかもしれねぇが…オレはそれでもかまわないぜ?」
「……」
幸村はそれでも負けじと何か言おうとしたのだが、結局何も言わずにそのまま政宗を居座らせる方を選んだ。
政宗がそこまで望んでいるのなら無理に断るよりも満足させてやろう、という気持ちになったのだが、
同時に幸村は少しやましい妄想も抱いてしまう。
(一ヵ月以上も政宗殿に触れられていない身としては、政宗殿の頭がこんな場所にあると…どうにも落ち着かぬのだが…)
すでに政宗とは、自分でも知らないような身体の隅々まで熟知されている程に身体を重ねあっていて、
だからこそすぐ近くに政宗の顔があるだけでも、記憶が身体を疼かせてしまいそうになるのだ。
(それに、政宗殿は先程あんな事を言っていたが、
そもそも某と深い恋仲になってからは手を出さずに奥州から帰したコトなど一度としてないのでは…?)
幸村がそんな事を考えていると、下から政宗が幸村の頬を撫でて自分の方に振り向かせた。
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