Cool Blue

□流れ星とひざマクラ。 -伊真編-
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・・・その日、幸村は通い慣れた道に馬を走らせ、奥州にいる政宗のもとを訪れていた。

何年かに一度、空に降るという星を、二人で一緒に見ようと政宗に誘われて。



   * * *


「・・・もう今夜の準備はできてるぜ。
 この離れなら、誰にも邪魔されずに二人きりでゆっくりできるだろ?」

キレイに晴れた夜空の下、月明かりに照らされた離れの縁側まで、政宗は幸村の手をひいて案内した。

そこには政宗が自身で用意しておいたものだろう、美しい蒔絵の施された重箱と茶道具の一揃えが置いてある。

「しかし、まだ星が降るという時刻まではかなり待たねばならぬようだが…
 某、訪なうのが少し早すぎたでござろうか?」

「何言ってんだ。お前がオレに逢いに来るのに、早すぎるなんてコトは絶対にねぇよ。
 それにお前が傍にいてくれれば、オレはそれだけで退屈なんてちっとも感じねぇからな」

「それは…某もでござるが…」

幸村を見つめて微笑む政宗は、白地で肩から裾へおりるにつれて少しずつ青へと染められ、一部に薄い色で仙台笹の家紋が描かれた浴衣を纏っていた。

幸村の纏う浴衣も政宗のそれと同じようにして、白から赤へと鮮やかに染められ、家紋は六文銭が描かれている。

長谷堂城でも幸村が気兼ねなくゆっくり寛げるようにと、政宗が特別に用意させた同じ意匠の浴衣は、
最初のうちこそ幸村を照れさせたが、今ではすっかり気に入ってくれていた。

「ほら、お前はそっちに座れよ。
 で、オレは・・・」

政宗が促すままに幸村が縁側の重箱のそばに腰をおろすと、
政宗は何の断りもなく、幸村のそばに寝転がって頭をひざの上に乗せた。

「えっ…政宗殿!?」

ひざマクラなど一度もした経験のない幸村はびっくりして政宗を見下ろしたが、
政宗は始めからそうするつもりだったらしく、早くも幸村のひざの上に和んでいる。


 

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