Cool Blue

□everlasting
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――どこか遠くで、鐘の鳴る音が聴こえる。
ゆっくりと、凍えた空気を震わせるように…残り少ない今年という時間を惜しむように。




「……あぁっ…ん…ッ」


それと同じ頃、奥州の或る場所に建てられている伊達政宗の隠れ家の一つで、
部屋の中から甘ったるい喘ぎ声が零れていた。

誰も訪れる事のない隠れ家のその部屋は、開けられた戸から射し込む月明かりに青白く照らされていて、
重なった二つの人影を浮かび上がらせている。


「……はぁっ…政宗、殿…ッ」

「ほら…気持ちイイか、幸村?」

「あっ…んん…っ!」

政宗は上半身を起こして幸村の腰を両手で支え、
幸村は政宗の腰を跨ぎ、自身の腰を押し付けるようにしてその上に座っている。

二人とも薄手の着物を身に纏っていたが、幸村のそれは政宗の手によって帯を解かれ、淫らに乱されていて、
ますます政宗好みの姿となっていた。

外の冷たい空気は部屋の中も侵入していたが、今の二人は互いに与えあう熱さで身体の隅々まで満たされている。


「政宗殿…もっと…」

「もっと? こうか?」

「ひぁっ!! あっ…はぁ…っ」

政宗が幸村の腰を揺さぶるたびに、幸村の口から甘い悲鳴が洩れた。


部屋の外では鐘の音が相変わらず、ゆっくりと余韻を響かせるように鳴り続けている。


…すると、突然政宗が腰を揺らすのを止め、幸村に一つの質問を投げかけた。

「なぁ、幸村。
 今年の年が明けるって時に、お前は自分が何をしてたか覚えてるか?」

「……いや…?
 政宗殿は、覚えておられるのか…?」

少し荒れた呼吸のまま答えた幸村は、逆に政宗に同じ質問を訊き返したが、
政宗も首を軽く横に振っただけだった。

「オレも覚えてねぇんだよ。
 酒でも呑んでたのか、それとも寝ちまってたのか…案外、そんなモンなのかもな」

そう言いながらも政宗は一人で何かを思うように視線を逸らしていたが、
あと少しで絶頂へと達けてしまう幸村は、その時間すらももどかしそうに政宗の名を呼ぶ。


 

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