Cool Blue
□流れ星とひざマクラ。 -親就編-
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* * *
・・・それから、数時間後。
あれから少しして目を覚ました元親は、その後は比較的大人しく酒盛を楽しんでいた。
『大人しく』といっても、元就の機嫌を激しく損ねるほど騒いだりしない(それでも二度ほど元就にはたかれていたが)というだけで、
酒豪を自負する元親の呑んだ量自体はかなりのものだ。
数本の大瓶が健闘虚しく討ち死にする頃には、元親はすっかり酔いがまわり、上機嫌で元就の肩を抱き寄せた。
「もとなりぃ〜…愛してるぜ〜…ッ」
「酒くさい息を吐きながら近寄るな!
大体貴様、我を酔い潰させようと画策しておいて自分が先に酔い潰れるとはどういう了見だ!」
「だってよぉ…俺はお前とこうして一緒にいられるだけで、すんげー幸せなんだぜ…」
元親は抱き着いたまま元就の肩に頭を乗せ、本当に幸せそうなため息をついた。
「――……ッ」
普段とは少し違う甘えられ方をされて元就もつい戸惑ってしまったのか、
珍しく元親を振り払おうとせず、抱き着かせたままにしている。
だが、いつまで待っても元親はそれ以上元就のために甘い言葉を捧げようとはしなかった。
「・・・元親、貴様…いつまでそうしているつもりだ?」
「………」
「おい、元親…?」
返事がないのを訝しんだ元就が隣を見遣ると、元親はいつの間にか目を閉じていた。
かすかながら、寝息のような音も聞こえている。
「こら、起きぬか元親!
我よりも先に眠りに就くなど、我が許すとでも――」
そう言いながら元就が元親を揺り起こそうとすると、
手が肩に触れただけで元親の身体がふらりと崩れ、そのまま元就のひざの上に転がってしまった。
瞬間、元就は頬を真っ赤に染めると、元親を突き飛ばそうと右手を振り上げた。
「なッ…!
貴様、この我にひざ枕をさせようなどと…っ!!」
だが、振り上げられた手は途中で止まり…ひざの上から突き飛ばすかわりに、元親の髪にそっと触れた。
柔らかな銀髪を指に絡めると、くすぐったいのか元親が声にならない言葉を洩らす。
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