Cool Blue

□流れ星とひざマクラ。 -親就編-
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・・・その日、元親はひと月ぶりにはるばる安芸の元就のもとを訪れていた。

何年かに一度、空に降るという星を、元就と二人で見るために。



   * * *


「・・・だってよ、数年に一度しか見られる機会がないってんだぜ!?
 そんなに珍しいモンなら、一人で見るより好きな奴と一緒に見たいって思うのは当然だろ?」

キレイに晴れた夜空の下、星明かりに照らされた離れの縁側で、元親は楽しげにそう話した。

二人とも涼しげな浴衣姿で、キッチリと襟を揃えている元就に対し、元親はゆったりと胸元を開けている。

「それは良いが…何故貴様はいつも安芸に来るたびに酒を大量に持ってくるのだ?」

「いいじゃねぇか。せっかくの良い機会なんだし、お前と二人で呑もうと思ってよ♪
 土佐の上物だぜ、上物!」

元親は傍らに置かれている酒瓶を得意げに持ち上げてみせたが、
隣に座る元就の表情は少しも和らがない。

「…ふん。先に言っておくが、我を酔い潰そうなどという不埒な考えは起こさぬ方が良いぞ?」

「えっ…な、何言ってんだよ!
 たくさん酒を呑ませてイイ感じに酔わせたところを襲ってやろうなんて、そんな事この俺が考えてるワケないだろ!」

元就に思いきり図星を指されて焦ったのか、自分から良からぬ計画をベラベラと暴露してしまってから、元親はおそるおそる元就を見た。

それを聞いた元就の口唇は微笑を浮かべているが…その瞳はわずかも笑っていない。

「そうか。貴様の浅ましい下心も、そこまでミエミエだとかえって清々しさすら感じるな」

「え、そ、そう?」

「……少しでも貴様の思い通りになると思ったら、大間違いだ。
 このたわけめ」

元就の言葉の端々に生えたトゲでちくちくと肌を刺され続け、元親はすっかり落ち込んでしまったのか、
しばらくの沈黙の後に酒瓶の栓を開けると、一人で杯に注いで寂しそうに飲み始めた。

そんな元親の様子を元就は横目で眺めていたが、やがてあまりにも見るに耐えられなくなってしまったのか、
空いている杯を手にすると元親の方へとそっけなく突き出す。


 

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