Cool Blue
□Blue Prisoner
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(でも何故だ?
刀と鎧だけ奪っておいて、オレをすぐに殺さなかった理由……いや、今はそんな事を考えてる場合じゃねぇ…)
先程から部屋の中に人の気配は感じないが、状況把握はなるべく早く済ませておいた方がいい。
閉じ切っていない障子の隙間から細く差し込む光は、朝よりも昼過ぎに近い明るさだと感じさせた。
生活臭のない部屋には独特の寂れたような空気が漂っていたが、
数少ない家具にほとんど埃が積もっていない所を見ると、人が離れてからそう月日は経っていないのかもしれない。
内装だけしか確認できないので断言はできないが、全体的な雰囲気は、どこか人里離れた地に建つ廃屋を思わせた。
(いや、この広さと造りは…廃屋よりも廃寺ってトコだな)
政宗の口を封じていなかったのは、声をあげても無駄だという意味だろう。
伊達軍や村民が辺りにいるような場所だとしたら、猿轡くらいはしているはずだ。
(Haッ、見れば見るほど状況は最悪ってワケだ…
だが誰だ? オレを殺して得をする奴はたくさんいるだろうが、わざわざ生け捕りにする必要がある奴なんて…)
足場が崩れる前に戦っていた敵の総大将は自身の六爪で確実に仕留めたという手応えがあったし、
もしその後敵の残党に発見されたのだとしたら、拉致なんて面倒な真似はせずにその場で首を刎ねられていたはずだ。
かといって倒れていた政宗を見つけたのが味方の者だとしたら、手首を縛って政宗の自由を奪っておくような事をする理由がない。
「………」
政宗が今までに対峙したり名を聞いた事のある者たちを可能な限り思い起こし、その中から今回の件に該当しそうな者を探していると、
不意に扉の外に人の気配を感じた。
咄嗟に気を失っているフリを続けようかとも思ったのだが、
すぐにあまり意味がない事に気付き、扉の方を睨みつける。
その視線の先で、扉が静かに開き、一人の男を政宗の囚われている部屋へと招き入れた。
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