Cool Blue

□Words of...?
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――夕陽も疾うに沈み、陽の代わりに月が姿を現した頃。


「…うぅ…さすがに夜は冷えるなぁ…」

幸村が星の散る夜空を見上げながら自分の両腕をさすっていると、
灯りを携えた政宗がようやく出迎えに来た。

「お前な…夜まで待つ根性があるなら、なんで昼にたった一言が言えねぇんだ――」

言いかけた政宗の科白などまったく聞かず、幸村はぱぁっと表情を明るくすると、
寒さなどあっさりと忘れて政宗のそばに駆け寄ってくる。

「政宗殿!
 用事とやらはもう終わられたのか?」

長時間待たせていたにもかかわらず、嬉しそうにしている幸村の様子を見てしまうと、
政宗も言おうとしていた言葉がすべて諦めのため息に変わってしまった。


「・・・たった今終わったトコだよ」

今日は政務のみで時間が潰れてしまったせいか、政宗はいつもの重厚な甲冑は纏っていない。
それでも『敵の武将に会う』という建前からか、軽装ながらもきっちりと武装していた。


「…で? 今日は何しに来たんだよ。
 今から戦いたいってんなら、オレは別にかまわねぇぜ?」

「あ、いや、某、今日は腕試しに来たわけでは…ッ」

政宗が刀の柄に手をかけるのを見た幸村が慌てて両手を振ると、
同時にタイミング悪く(ある意味良く?)腹の音が鳴った。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


なんとも間の悪い空気がしばらく二人の間に流れた後、
政宗が早くも二度目のため息を吐いて、刀の柄から手を離す。

「…そういやお前、あれから何も食ってねぇんだったな。
 待たせた詫びに飯くらい食わせてやるから、ついて来な」

「…かたじけない…」

さすがに幸村も少しきまりが悪そうにしながら、
でもようやく政宗といられるのが嬉しいのか、素直に後をついていった。


 

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