Cool Blue

□ライバル以上コイビト未満のハッピーメリークリスマス☆
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「You've got such a nerve...喧嘩ならいくらでも買ってやるぜ?」

「先に売ってきたのはそっちでしょ。高くついても後悔しないでよ?」

今にも武器を取り出して構えそうなほど目が本気になりつつある二人だったが、隣から同時に牽制の声がかかった。

「政宗様! このような祝いの日に争いを仕掛けるとは何事です!」

「佐助! 今夜は無用な諍いをせぬようにと申し付けておいたではないか!」

強く諌められて二人は口を閉じてしまったものの、まだ言い足りないのか互いをじろっと睨みつけると、突き刺すようなトゲトゲしい視線だけで会話の続きを交わした。

(そう簡単にウチの旦那はあげらんないよ。
 いくら真田の旦那が単純だからってご飯や甘いモノで釣ろうなんて、それこそ考えが甘いんじゃないの?)

(こっちだってテメェの魂胆くらいハッキリ読めてんだよ。
 悪ィがその辺の適当な奴に小十郎をくれてやる気なんてさらさらねぇぜ?)

二人はなおも少しの間睨みあった後、フッ…と同時に吐息混じりの笑いを零した。

「まぁお互いに仲良くやろうよ。ねぇ、竜のダンナ?」

「Haッ、上等だ…せいぜい今夜のPartyを楽しみやがれ」

互いに手を伸ばしてギリギリと力のこもった握手を交わしながら、佐助と政宗はいかにも正直すぎる作り笑いを浮かべていた。

その様子を見守りながら、幸村は首を捻り、小十郎はため息をついている。

「…なぜ佐助と政宗殿は互いに「仲良く」と言いながら、いつも喧嘩腰なのでござろうか…?」

「まったくだな。最初から無駄な争いだと早く気付いてくれたら良いんだが」

「?」

意味ありげな小十郎の言葉に幸村はさらに深く首を捻っていたが、その意味を問い質す前に政宗が皆に食事を促したため、聞けずじまいになってしまった。

「では…いただきまする」

「あぁ、遠慮なく食ってくれ」

異国の風習であるクリスマスを祝うといっても、洋食づくしにすると慣れていない幸村が食べにくいと考え、政宗は和食をメインとした食事を用意していた。
並べられた御馳走と一緒に、秘蔵の酒も豪勢に振る舞われている。

そして料理に箸をつけて口に放り込むと、それだけで幸村は小十郎に訊きたい事があったなんてすっかり忘れて政宗に笑顔を向けた。


 

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