Cool Blue
□ライバル以上コイビト未満のハッピーメリークリスマス☆
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――その年の彼らのクリスマスは、政宗が幸村に送りつけた書状のこんな誘い文句から始まった。
『異国の祭りを開催するから、お前も料理と菓子を食いにこい』
政宗は普段から手合わせだけでなく、甘味好きな幸村に『菓子の味見をさせる』、という建前で奥州まで呼びつける事も多かった。
こうして自ら何度も機会をつくっているのに、なかなか胸中の想いを告白できずにいる自分を不甲斐なく思っていたりもするのだが…
(もうすぐ今年も終わっちまうし…新しい年は幸村とHappyな関係になって迎えたいよな。
そのためにも今夜は…いろいろ頑張らねぇと)
政宗はそんな事を考えながら、今夜のための菓子作りに力を注いでいた。
* * *
・・・そして予定通りに幸村が奥州を訪れ、夜。
「Yeah! Happy Merry Christmas!!」
ご馳走が並べられた特別な卓を前に、高らかに宣言した政宗と、向かい合う席でとりあえずぱちぱちと拍手をする幸村――そしてその周囲からも、疎らな拍手が起こっている。
「・・・それで、だ。」
政宗は自分の意識を切り替えるように咳ばらいを一つすると、先程のテンションとは打って変わり、自分の隣席を凄まじい気迫で睨みつけた。
「まずは…なんでお前らが此処にいるのかをキッチリ説明してもらおうじゃねぇか、小十郎…?」
政宗に問われて詫びを口にしようとした小十郎に被せるように、幸村の隣に座る佐助が会話に割り込んでくる。
「だってさ、異国の祭りだかなんだか知らないけど、せっかく騒ぐんなら二人だけより人数がいた方が楽しいでしょ?」
「す、すみませぬ政宗殿…佐助がどうしても同道すると言い張るもので…」
幸村も謝罪の言葉を口にしたのだが、政宗はそれを聞かず、佐助に向けてあからさまな毒をこめた科白を吐く。
「招かれざる客の分際で、堂々とツラを出しやがって…
テメェも忍ならそれらしく、薄暗い天井裏にでも地味に潜んでいたらどうだ? Ah?」
「あいにく俺様ってば何処にいても目立っちゃうんだよね〜。
ほら、これも隠しきれない天性の素質ってヤツ?」
「Haッ、自分で『忍として失格だ』って認めてるようじゃ世話ねぇな」
「他国からの客をちゃんともてなせないような、未熟な城主よりはマシだと思うけどね」
売り言葉には買い言葉で応酬される皮肉に満ちた会話に、二人の間はどんどん険悪な雰囲気になっていく。
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