Cool Blue

□奥州双竜恋仲自慢(惚気)合戦
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「それにあの時ばかりは真田にもあまり良い顔をされず、数日の間何も手につかないほど落ち込み続けたのではありませんでしたか?
 それを覚えておいでのうえで、それでも行くというのでしたら、私もこれ以上お引き止めはいたしませんが…」

「Stop! Be quiet! それ以上言わなくてもわかったよ!
 ここでおとなしく待ってりゃいいんだろ!!」

小十郎の指摘は正しいからこそ政宗の胸をぐさりと突き刺したのだろう、政宗は不機嫌に座り込むと、また筆をとって紙にぐるぐると丸を書き始める。

「…けどよ、そういうお前は早く猿飛に会いたいとか思わねぇのか?
 こないだは幸村しか会いに来なかったから、オレよりお前の方がもっとご無沙汰じゃねぇか」

その時にはすでに別の書物を開いていた小十郎は、政宗の突然の問いにも特に動揺する事なく、淡々と答えた。

「…会えない時間が長ければ、その分会った時の喜びも同じだけ増すものです」

小十郎にそう諭されても、いつも幸村と一緒にいたいと思っている政宗には理解できないのか、「そんなモンかねぇ」などと半信半疑でぼやいている。

「お前らってホントに淡泊だよな。
 オレたちみたいにイチャついてるトコとか、ほとんど見たコトねぇし…」

政宗と幸村は自分たちの関係を隠そうともしていないため、その親密すぎる仲は本人たちの与り知らぬところにまで広く知れ渡っているが、
小十郎と佐助の関係を知っているのは、彼らの主人である政宗と幸村を含め、奥州と甲斐のごく限られた数人だけだ。

政宗と幸村が恋仲という事実があるため、直属の部下である二人が多少仲良くしていてもおかしくはないのだが、
二人の間で何か取り決めでもあるのか、人目のある場所では決してそういった雰囲気すら匂わせないのだ。

(…まぁ確かに、人前で恋人と甘くイチャつくようなタイプには見えねぇけどな。二人とも)

それでもあの小十郎が掴まえたまま決して手放さないほどなのだし、佐助もそれなりの頻度で小十郎に会いに来ているから、
外からは窺い知れない愛情が二人をしっかりと繋いでいるのだろう。

政宗がそんな事をぼんやりと考え、「それでも楽しそうには思えねぇんだけどな」などと首を傾げていると、小十郎の声が割り込んできた。


 

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