Cool Blue

□Rabbit+ Rhapsody☆
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   * * *


・・・一体何日間、歩き続けたのだろうか。


佐助はフラフラとした頼りない足取りで森の中をさまよっていた。
減りすぎた腹はもはや鳴ることすらなく、木の根に足をひっかけては転びそうになる。

腹が減って注意が散漫になっていたせいか、どこかで道を間違えてからというもの、佐助は森の中から抜け出す事が出来なくなっていた。

「うぅ…もうダメ…」

ついに力尽きた佐助はその場に仰向けに倒れ込んだ。
青空は木の葉で散り散りに遮られ、眩しい光を佐助の顔の上に揺らめかせている。

(あぁ…俺、このまま独りぼっちで死んじゃうのかな…)

爽やかな風がさわさわと草葉を揺らし、佐助の白く長い耳をくすぐってゆく。

(そうなる前に…一度くらい、誰かに…)

風にのって流れる青葉や土、名前も知らない花の匂いは佐助に少しの興味も持たせなかったが…ふいにそれらに混じって、鼻の上をとても良い匂いがかすめていった。

佐助は反射的にピョコンッと身体を起こすと、顔を上に向けてわずかな匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。

「この匂いは…にんじんだっ!!」

疲れ果てた身体のどこにそんな体力が残っていたものか、佐助は元気な駆け足で匂いの強くなる方へと走っていった。



   * * *


それから何分くらい走ったのか、急に森の中の開けた場所に抜け出たと思うと、そこには小さな屋敷と立派な畑が一面に広がっていた。

よく耕されたふかふかの土ではたくさんのニンジンが育てられ、畝ごとに行儀良く並んでいる。

畑のふちに立った佐助は辺りをキョロキョロと見回してみたが、畑にも屋敷の方にも持ち主らしき人影はない。

(なんでこんな森の中に畑が…
 でもこんなにあるなら、俺が一本くらいもらったって…平気だよな?)

一応罠を警戒しながらおそるおそる畑に踏み入ると、佐助はニンジンを一本抜き取った。
栄養たっぷりにつやつやと太ったニンジンは、食べる前からすでに美味しさが伝わってくるようで佐助の喉を鳴らす。


 

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