Cool Blue 2nd
□tea break...
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「…答えがわかったのなら、そろそろ俺の上から降りろ。重い」
「え〜、俺はこの場所が気に入っちゃったんだけど。ダメ?」
佐助は甘えたがりな猫のように小十郎に頬を擦り寄せてみたが、小十郎は首筋に抱き着く腕を掴んで自分の背中から離させた。
「こっちに来い、佐助」
(あ…そういう事、ね)
小十郎は机に向けていた身体を開いて自分の膝を叩くと、大人しく膝に乗ってきた佐助の肩を抱き寄せた。
佐助はシャーペンをフラフラと揺らしながら、記憶を呼び起こすように視線を宙に泳がせている。
「あれからいっぱいキスしたけど、レモンの味なんて一度もした事ないなぁ。
わざわざ『ファースト』っていうくらいだし、もしかして一生に一度しか味わえないのかな」
「…なら、今から檸檬をかじってくるか?」
「それじゃただの酸っぱいキスだろ。
俺が言ってんのは『甘酸っぱい』レモン味なんだって」
「……よくわからんが、すまなかった」
(あ。なんか俺、今小十郎さんに勝った?)
佐助自身としては最初のキスの相手が小十郎だっただけで満足だし、実際はそこまで『レモン味』にこだわってなどいないのだが、
小十郎は責められたと感じたらしく、少し意気消沈してしまったようだった。
「よくあるのは、歯磨き粉の味とか、その時飲んでたジュースの味とか…あ、でも一番多いのは小十郎さんの味かな」
「俺の味?」
「うん。なんかさ…優しくて、でも甘くて、少し興奮もして、それに力強くて…そういうのがギュッと詰まった、不思議な味なんだよね」
「………」
「あはは。小十郎さんが照れてるなんて珍しい」
佐助はあえて、小十郎が照れてしまうような例え方をしたのだろう。
思い通りの反応を示した小十郎に悪戯っぽく笑ってみせながら、自分の口唇に人差し指を軽く触れさせた。
「ね、小十郎さん。
今俺とキスしたら、なんの味がすると思う?」
「………」
「答えるチャンスは一回だけだよ。
はずしたら、今日の『夜食』はナシだからね」
ただでさえ難しい問題に困った条件までつけられた小十郎は、少し思い悩んでから佐助に訊き返した。
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