Cool Blue

□比翼の鳥
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「でもな…だからこそ二羽は絶対に離れ離れにはならねぇんだ。
 戦も争いも関係のない場所で、いつも愛しい相手と寄り添いあって過ごせたら…こんなに幸せな事はねぇだろ?」


一羽では飛ぶことも、生きることすらままならない、比翼の鳥。

けれど、愛しく思う相手と敵同士でいなければならない政宗にとっては、
「相手がいなければ生きられない」と定められた運命が羨ましいとさえ思えた。


…いや、相手がいなければ生きられないのは、すでに変わりのない事なのかもしれないが・・・

だが、例えどちらかが先に生命を落とすような事があったとしても、
残された相手が自分のために後を追うような真似をすれば絶対に許さないだろう。

その二つの気持ちは相反するものだったが、同時に本当の気持ちでもあった。

(・・・幸村も、オレと同じように思ってたりしてんのか?)

自分が傍にいられなくなっても、隣にいる男の心が自分以外の誰かに向いてしまうのは絶対に嫌で。
それならいっそ、埋められない淋しさをずっと抱えたままでいてほしい。

…なんて思ってしまうのは、ただのワガママでしかないのだろうか?

(・・・訊くだけ野暮ってモンか、そんなの)

ちらりと隣に目をやると、幸村は空を仰いでいた。
その瞳は上空を舞う鳶を見ているのだろうか、それとも視えない比翼の鳥を空に思い描いているのだろうか――


(・・・。
 何を考えてたんだっけな)

少しずつずれていった思考の糸をもう一度手繰りなおそうと、政宗が目を閉じていると。


――不意に、顔の上に影が広がった。

それに気付いた政宗が目を開けると、いつの間にか上半身を傾けた幸村が政宗の上に屈み込んでいて、
政宗と目が合うと少し照れたような笑顔を浮かべ、そのまま顔を近づけて口唇を塞いだ。


時折風に揺られてさわさわと囁く草の声以外は、音を立てるものもなく、
触れるだけの静かな口接けは少し離れてはまたすぐに重ねられて、互いの心を満たすまで何度もくり返された。


 

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