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お題→[確かに恋だった]様より。

嫉妬する彼のセリフ。
>>BBよりラグナ。




無性に、腹が立った。
誰彼構わず無防備なエトワールに。

この前はお面野郎、その前はバング。しかも今回はジン。

「…」

他の奴等は解せねぇが、…まぁ、あんなことがあったとはいえ、ジンは身内の様に育ったんだ。気に入らねぇが、優しいこいつのことだ。いくらああなってしまっても、ジンへの接し方は甘くなっちまうだろう。そう、思うだろう…いつもの俺なら。
ただ、あいつの…ジンに抱きすくめられていたエトワールの、今までに見たことがないような顔が、どうしても…見ていられなかった。

涙の滲む瞳に、真っ赤な熟れた頬。
それは拒絶でも親愛でもなく、意中の男への反応の様だった。
俺は堪らなくなって、気が付けばエトワールからジンを振りほどいていた。あの後、何かジンが嬉々として話していた様な気がしたが、内容は全く耳に入らなかった。

腕を引かれるエトワールの声すらも無視して、ジンを撒いた。

「ラグナ、待ってラグナ!」
「…んだよ」
「ラグナ…怒って、る?」
「…別に」

エトワールの不安げな瞳が、俺の背を突き刺す。そんな顔をさせているのは俺なのに、先程のエトワールの表情が頭を離れないせいか、無性に、怯えた様な声に苛ついた。

どうして、ジンにはあんな。
俺だって、お前が…。
お前、が…。

「私が、悪いこと…したんだよね?ラグナ、あの…ごめん…なさい」

涙目になるエトワールに、やや罪悪感が芽生え始める。いつもなら、頭を撫でて、悪かったと一言…言うだろうに。俺は、一秒だってお前にそんな顔をしてほしいわけじゃねぇ、のに。

…ちくしょう。らしくねぇ。
何やってんだ、俺は。

「ごめん、なさい…ごめっ…!わた、私…ラグナがすきっ…だから嫌われたくないよ…」
「…な」
「一番、すきなのっ…嫌いになっちゃ…やだ…!」
「…っ!!」

…俺が?
今、何だって?

エトワールの言葉に戸惑っていると、後ろから小さな衝撃。
腰に伸びる細い腕は、紛れもなくこいつの腕で、固まっていた俺は、ふと我に返る。柔らかいエトワールの感触に、頬が熱くなるのがわかった。

「怒らないで…嫌いにならないで…!」

か細く、すがる声が、どうしても可愛いと、思ってしまう。

「ったく…泣くな、この馬鹿が」
「だって…!らぐ、ラグナが…!」
「チッ…だから、お前が、ジンにあんな…」
「…ジン?」
「ああ…くそっ!とにかく、俺以外に触らせんな!!」

エトワールの爆弾発言と行動にいっぱいいっぱいになりながら、腰に回る腕を解いてやる。情けなく赤くなった顔を見られない様に、自らの胸に押し付けた。
ゆるゆると、胸板に触れてくる小さな手が、…愛しい。

「ラグナ、あの…それって」
「うるせぇよ!!」
「妬いて、くれ…たの?」
「…―――」

エトワールのくぐもった声が、酷く熱っぽくて、小さく発した声が、ただただ、震えた。

「嬉しい…ラグナ」



ああ気に入らねえよ、悪いか
(お前を、誰にもやりたくねぇんだよ)






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