□1日目
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午前7:36…












ごく普通の住宅街
その中のとある普通の一軒家

朝の通勤、通学ラッシュに追われる他の家とはまた違い、その日だけは一際慌ただしさに包まれた私の家



「ハンカチとティッシュ持った?パスポートは?」

『持ったってば!
全く…私ももう子供じゃないんだから
心配しなくても大丈夫だよ』





私の心の内を表すかのように澄み切った青い空
今から旅立つには絶好の晴れ模様だ





今日は念願のイタリアに留学する日

この日のためにイタリア語も猛勉強したし、
バイトだって休みなく働いた





「そうね……
お母さんも空港まで見送りに行きたかったんだけど
急に仕事が入っちゃって…」

『気にしなくてもいいよ。
余計寂しくなっちゃうもん』

「体には気を付けるのよ。
向こうに着いたら知らせなさいね」

『もう、分かってるって
行ってきます』









変な人には気を付けるのよー!

なんて言ってるお母さんの言葉を聞き流し、
私は空港へ向かうべくタクシーへと乗り込んだ













これから始まる悪夢を予想するなんて、
私には出来るはずも無かった

もしも出来たならこんなことに
なるわけが無かったのだから






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