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□出会い、それは偶然に
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「あなただぁれ?」

雪が降っているというのに街は人で賑わっていた。街樹には、綺麗に飾り付けが施されている。

(今日はクリスマスか…)

キリストの生誕だかなんだかしらないけど、所詮オレには関係ない。だってオレは“ブックマン”だから。


そんな中一人クリスマスツリーの下で座っている子供がいた。
いつもは見てみぬフリを決め込むが何故か今日はそれが出来なくて。気がつけばその子供に声を掛けていた。

「こんばんは。一人で何してるの?」

「あなただぁれ?」

質問したのに質問されるという状況に少しビビり、その質問に少し考えて答えた。

「この世界を旅してる旅人さ」
「ふ〜ん。お兄ちゃん暇なんだね。」

暇…いやいやお兄ちゃんは暇じゃないぞ!と言うとへーとこれまた興味なさげに返した。



(私の事好きなんだ?なら付き合う?)


「私は待ってるの。」
「何を?」
「サンタクロース」
「何か欲しいもんがあるんか?」

「…旅人さんには関係ないよ」
「そっかぁ…」


(恋人の私には関係ないことなの?!)



時折浮かぶ誰かとの記憶…





「旅人さんは欲しいものある?」



「そうだなぁ…


オレは“自由”が欲しい」





「…ママが言ってたよ。自由を望んでいるときが自由なんだって。だから…」


(焦らなくていいんだよ。“ラビ”は“ラビ”だよ)






「…君の名前は?」

(そうねぇ…子供には、)


「レッキス」

(貴方に因んでウサギの名前にしようかしら)








なんて誤算
これは何かの偶然なのか…?



「旅人さん、どうして泣いてるの?」



「オレにもサンタクロースが来たみたいなんさ…」

(きっと貴方に似て髪の撫で心地が最高で、瞳はとても澄んでキレイよ)






   H20.12.25 陽皐ф

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