■高土本棚■

□bitter or sweet…?‡
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天人が地球にやって来てからと言うもの、

花街も随分とお粗末になったように思える。



情緒ある提灯の明かりは下品な七色の電球へと様変わりし

白粉と和服に身を包んでいた妓達は派手なブランド洋服で客に色を売るようになった。



隅から隅まで天人に浸食し尽くされている。

幕府の力が衰えているのが一目瞭然だ。



恥晒してるようなもんだゼ…



なァ…それでもテメェは忠義を尽くすのか…?









「…オイ、いつまで待たせるつもりだ」

花街でも指折りの高級店のさらに特級の座敷で待ち人を待つ妖艶な男。



暇潰しに呼ばれた妓も困惑、というより怯えていた。この部屋、ここで斬り合いでもあったかのように鮮血のような赤で染まっている。

「なら、下の様子見てきましょうか?」

妓は何とか営業スマイルを繕うことができると着物の裾を払って立ち上がった。



男は黙って妓が部屋から逃げ出していく様を眺めていた。



「…ケッ、酒がまずくなるだろーが…」

いくら和服で浸食されていないように見えても、

金の為なら天人だろうと足を開く妓共なのだろう。



小刀を抜きたいのを我慢するかわりに低く歯軋りした。
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