REBORN! 小説
□その1
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「これやるよ」
と渡されたものは
表に○、裏に×と書かれた枕だった
-嘘、つきました-
なんだこれ
「枕なら足りてんだけど」
ポイッと馬鹿に投げた
「まぁまぁ、んなこと言わずに貰っとけって」
ポイッと投げ返される
なんなんだ、この枕
見たこともない
「つか、デザインおかしいだろ」
なんで○と×なんだよ
もっと良いデザイン、いくらでもあるだろ…
「それ、今日の夜、枕にして待っててなvじゃあなーvV」
「なっ、この馬鹿がっ…!!」
アジトで堂々と「夜に待ってて」とか言うんじゃねぇよ…!!
誰かに聞かれたらどうすんだ…いや、でも、今更…か;
馬鹿はそういって手を振って去って行った
意味不明なんだけど、マジで
てか、マジでなに、この枕
なにが○?
なにが×?
俺、チョー元気!!の○?
今、マジでテンション低…、の×?
それだったら気分は悪いが、一応元気だから…○?
そういう感じなのか?
じゃあ○にして待ってれば良いのか…てか、それがどうした
元気なのくらい見ればわかるだろ
マジで意味不明だ
そんなことを考えながらアジトの廊下を歩いていたら
「は、隼人…それ」
「綱吉さん!!」
たまたま綱吉さんが通り掛かって、俺の持ってる枕を見たら顔色が変わった
「ど、どうかなさったんですか、綱吉さん!!×ですか?!」
枕を×側にして綱吉さんに見せたら
「あ、当たり前だよーっ!!」
と、叫ばれてしまった…?
******
それから綱吉さんからこの枕の意味を聞いた
「今夜、良いなら○で…駄目なら×を上にして寝て待ってる…?」
あの馬鹿が…んな意味だったのかよ
「だから、その気がないなら×にして寝なよ?…多分だけど、○にして寝たら大変なことになるから」
と、綱吉さんに言われた
はい、と答えてその場を後にした
******
なかなか帰って来ない
もう寝たい
そんなときにドアが開く音が聞こえた
…ったく、ようやく来たか
俺はゆっくり目を閉じた
「ただいま、…はや、と?」
必殺、寝たふりだ
見えなかったが、コイツの表情が想像できた
グルッと視界が変わる
「なっ…なん…?」
今起きました、と言わんばかりの表情をしてやると
「なぁ、○なの?」
と、声を弾ませて聞いてきた
そう、俺は○にして寝たんだ
「はぁ?これって…チョー元気の」
「今日良いよって意味の○なのな、この枕」
「なっ、んなのしるか!!離れろ変態馬鹿!!」
もうしっかりと組み敷かれて身動きが取れない
「同意の元ってことで、いただきまーす」
「おいっ、…」
と、言いつつも抵抗はしなかった
知ってたよ、馬ー鹿
なぁ、俺、意外と嘘が上手いだろ…?
そう思いつつ
俺も相当な馬鹿だな…、と
アイツに身を任せた
…すみません、綱吉さん
嘘、つきました
END