奪還屋 小説

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これ以上は望みません

これ以上は…


-OVER-


「オラァッ!!」
「…足りませんね。やはり役不足でしたか」
「何だと?!もっかい言ってみろクソ屍ぇぇ!!」

私は今、美堂君と戦っています
もちろん本気ではありません

何となく…戦いたい気分になり、お遊び程度で戦っていただこうと思い、美堂君をお誘いしたら…見事に乗ってくださったので

…きっと誘い方が良かったのでしょうね?

たまたま見かけた美堂君に突然メスを美堂君に投げて「暇つぶしには調度良い方が…」と、言ってみただけなのですが

「テメー、なめんじゃねぇぞ!!本気で来いや!!」

本気で行く訳無いでしょう?
お遊びなんですから

それにしても
…この私が「お遊び」とはね

「…クスッ」
「っ!!…ぶっ殺す!!」

このお遊び…

実に面白い

何故でしょうね?

「クスクス…」

あぁ、きっと…

貴方とだから

「何笑ってやがる!!」

楽しいからですよ
貴方といることが

今が
この一時が
…一番楽しい

私はきっと「美堂蛮」という人物に惹かれているんでしょうね

…たった今気付きましたよ

「不思議ですねぇ」
「何がだよ!!」
「…いえ、独り言ですよ」

この私が人を好きになるなんて

実に不思議です

「さっきからこの俺様を馬鹿にしてんのかよ?」
「…いいえ?」

いつからでしょうね?

多分…知らない間にこの気持ちが芽生えたんでしょうね

「じゃあ何だよ!!」
「…特には」

でも何故か…
貴方を手に入れたいとは思わない

この気持ちを貴方に伝えるくらいなら

「…赤屍?」
「……殺しますよ」
「っ?!」

貴方を殺します

だってそうでしょう?

私にとっては今、この状態が一番楽しいのです

それに…
伝えるなんて
この私が人に好きだと伝えるなんて

…何て馬鹿馬鹿しい

そんなことをするくらいなら…

「冗談ですよ…貴方はまだまだ楽しめる方ですから」
「テメー…」
「クスッ…」

私は貴方を殺しますよ
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