狗狼綺譚 -琥珀と真紅の想い-
□第2話 謎は謎のまま -護衛と監視-
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「五代目ェ――――――――っ!」
執務室に入るなり、オレは食ってかかった。
「何なんすか?一体!?アイツの正体は!?」
「うるさいねぇ、まったく!順を追って説明してやるから、静かにしな!!」
毛を逆立てて怒る犬みてぇに、フ―ッと牙を剥いていたら、姉ちゃんに叩かれた。
睨みつけたら、倍以上おっかねぇ目で静かにしろと叱られる。
「・・・・・いってぇなぁ、もう・・・」
「キバ、お前が見つけて来た娘は・・・火の国にある謎の一つを解き明かすかも知れないぞ」
・・・・・へ?
「あれは、今まで消え去ったと言われていた一族の者のようだ」
消え去った、一族?
「およそ10年前・・・火の国の外れに、白眉と言う名の一族がいた・・・」
何を言い出すのかと驚いていると、五代目は嘘みてぇな話を始めた。
水の国との国境警備を受け持ち、深い森の中で忍狼と共に生活していた一族だ。
お前たちも見ただろう?
褐色の肌に琥珀色の髪。
閉じられていた瞳も、琥珀色だ。
額には名を表す、白い眉のような痣が二つ。
一族全員がそのような容姿だったのさ。
しかし、珍しいのは容姿だけではない。
白眉の者は特殊なチャクラを持っていた。
狼神と呼ばれる魔獣のチャクラを秘伝術で交える事により、全ての感覚器官の機能を増幅させ、尚且つ独特の力を持っていたのさ。
それが変化・・・いや、変身と言うべきか・・・。
彼らは念じると、狼へと変身することが出来、それによって更にパワーアップするんだ。
まぁ、この能力は良い事ばかりじゃないがね・・・。
しかし、何故消えた一族なのか?
それは10年前に、一族全員が何者かに皆殺しにされたからだ。
人里離れた所に暮らしていたが故に、異変に気づいた時には、集落に生きている者は一人もいなかったそうだ。
一体、誰が何の目的で白眉一族を全滅させたのか、全てが闇の中なんだよ。
だが、今ここに、その生き残りらしき者が現れた事によって、白眉一族についての謎が解けるやも知れん。
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