狗狼綺譚 -琥珀と真紅の想い-

□第1話 邂逅 -深い霧の中で-
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(キバ・・・・・キバ・・・ねぇ、おきてよ―!キバってば!!)


「・・・・・うぅ・・・ん」


「キャンッ!!(キ―――バ―――――ッ!!)」


「うあっ!?」



ぬくぬくの布団に包まって気持ちよく寝ていたってのに、赤丸の叫びで強制的に目覚めさせられた。



(やっとおきた―!なんかいもおきてっていったのに―!)


「なんだよ赤丸―!散歩にゃまだ早いだろうが!?せっかくの休みなんだし、もう少し寝てようぜ―?」



くぁっ!とあくびをしながら文句をひとつ。



(ぼくもねていたいけど・・・なんか、きになるけはいがするんだもん)


「気になる気配?」


(うん・・・にんげんだけど、にんげんじゃない、みたいな・・・)



気配を察知するのはお手の物のはずの赤丸がそんなこと言うのは珍しい。



「はぁ?何だよ、それ?」


(だから、きになるんだってば―?うらのもりのほうだよ。キバ、かんじない?)


「ん――――・・・何も感じねぇけど、赤丸がそう言うなら行ってみっか!」


(うん!!)



主張を受け入れられて嬉しそうに尻尾をパタパタさせてる赤丸を待たせ、手早く身支度を整えて窓から外へと飛び出して行く。



それが、オレにとって人生を大きく変える事になるとは露ほども思わずに・・・・・。





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