狗狼綺譚 -琥珀と真紅の想い-

□第1話 邂逅 -深い霧の中で-
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窓から部屋に飛び込み、バスタオルで血だらけの狼をくるみ、ベッドへ寝かせる。



「赤丸、姉ちゃん呼んでくるから、ちっと見ててくれ」


(うん、いいよ)



まだ朝早いから、ぎゃあぎゃあ言われんだろうな・・・はぁ・・・。



「姉ちゃん・・・?」


コンコン、と部屋のドアをノックするも、やっぱり返事がねぇ。



「・・・仕方ねぇか・・・姉ちゃん!!」



バンッ!と勢いよくドアを開け、大声で姉ちゃんを起こす。



ゆさゆさと揺さぶり、何度か呼ぶとやっと起きてくれた・・・けど・・・め、目がおっかねぇ!



「――――何なんだい!朝っぱらから・・・って、アンタどうしたの?この臭い」


「ちょっと診て欲しいんだって!」


「あたしゃ人間は門外漢だよ?」


「オレじゃねぇって!怪我してるヤツ拾っちまって・・・狼なんだけどさ・・・」


「はぁ!?」


「まぁ、いいから早く診てくれよ!結構ヤバそうなんだよ!」



ブツブツ言ってる姉ちゃんを引っ張り、自分の部屋に連れて行く。







「ったく、朝早くに何をやってんのよ!まったくもう!」


「んなこと言ったって、赤丸が気になるっつ―から・・・」



わぁわぁと言い合いながら部屋に着く・・・が、姉ちゃんは部屋の入り口で立ちつくしてる。



「姉ちゃん!何やってんだよ!?」


「キバ・・・お前、怪我してるのは狼って言ったんじゃないっけ・・・?」


「そうだよ!ベッドの上に居るだろ!?」



ちっとも治療に取りかかる気配のない姉ちゃんにイライラしながら言うけど、どうも様子がおかしい。



肩がワナワナと震えてる・・・?



と思ったら、振り向きざまにぶん殴られた!!



「っいってぇ――――っ!!何すんだよっ!!」


「何すんだ、じゃないよっ!あれのどこが狼なんだい!」



ビシィッ!と姉ちゃんが指差した方を見ると・・・確かに狼を寝かせたはずのベッドに横たわっていたのは・・・





いたのは・・・・・





いた・・・のは・・・





「―――――!!!!!!っなななな!なんで!?何これ!?あっ!赤丸!!さっきの狼は!?つか、何だよそいつ!!えぇぇぇ!?何?どどどどどうなってんの―!!??」





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