精霊のブローチ

プロローグ
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幸せ、まさにそうだったんだろう。
綺麗な花、美しい鳥の囀り。
優しいお父さま、お母さま。
その真ん中で幸せを奏でる。

何かが欲しいわけではなかった。
今のままで十分だった。

ねぇ、私は幸せよ。
このままでいいの。
このままがいいの。

だから
壊さないでよ、奪わないでよ。

運命の歯車はどこで狂ってしまったのかしら…

それは今この瞬間?
それとも私が生まれた時から?
それとも私が生まれてくるずっと前から?
訊ねても返ってくる答えはない。
分かってる。

終わるのは一瞬。
失うのも一瞬。

それなら ねぇ、
今この瞬間だけ

この瞬間だけでも

もう一度幸せを奏でさせて。

愛しい人が還ってくる事を願って…

永久に終わらない夢を見る。

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