S&S

□キスミー
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別に欲求不満ってわけじゃないと思うの。多分、こう思うのが自然な流れなはずよ。


(──ねぇ、こっち向いてキスして)


なんて、言えたらいいんだけれど。何せ彼は物腰が柔らかくて紳士だし。


「どうしたの?」

「(いつもあなたの事ばかりよ、なんて言えたらなあ…)ちょっとぼうっとしてた、ゴメン リーマス」


慌ててニッコリと笑うとリーマスは一度考えるような仕草をして、チェスの駒に何か指示をした。そうよ、今はチェスに集中しなきゃいけないのよね。


「お嬢さん、お嬢さん。敵兵から伝言ですぞ」

「え、なあに?」


キングがウィンクをし、耳を近寄せた私にこう囁いた。


この勝負、勝ったら君の唇を頂いても良いでしょうか?


無論今日こそは負けてはなりませんぞ、とキングが言ったけれど生憎私はリーマスに勝てたことがないもの。それにキスして欲しいと思ったのは確かだし。……まさか顔に出てたのかしら。

不安にチラリと視線を向ければ彼は朗らかに笑い「チェックメイト」とのたもうた。



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