□どうして君ってやつは(未)
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「どうして?」

出た声は情けないほど掠れていた。それでもお得意の笑顔でいたのに。

まるでそんなものでは騙されないとでも言うように彼は澄んだ目で見てきたのだ。











「ま、別にどうでもいいけどね」


僕が問いに答えられず、更に彼も僕の問いかけに答えないまま、じっと僕の顔を見つめていた英二は話しかけてきた時と同様唐突に話を断ち切った。その言い方は本当にどうでもいいのだと言わんばかりで、なぜか酷く傷ついた覚えがある。



それからだ。僕が彼に興味をもつようになったのは。

僕が笑顔のままでいることに気づく人は多いだろう。
そこに何か不思議なものを感じる者だってそんなに少なくはないかもしれない。
けれど、人間は大きくなるにつれて関わらない方がいいことが自然とわかってくる生き物だ。

何故、とか どうして、だとか思っても口にし無いほうがいい、もしくは口にしてはいけないのだと――些か過敏なほどに――感じるようになる。
そのカテゴリーの中に僕の表情(ある意味の無表情)も入っているに違いないわけで。

それを彼は堂々と
まるで幼い子供のように訊いたのだ、僕に。

それは人間の裏を自然と読み解いてしまう僕にとっては驚きに値するものだった。




その時僕は初めて本当に”菊丸英二”として彼を認識したのだった。
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