忍U
□ういことば
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たった一言、言えればいいのだけれど、
どうしてかその一言が出てこない。
「ナルト」
「なんだってば?サクラちゃんvV」
「お誕生日おめでとう!」
「え…
───BON!!───
「ナルトぉー誕生日おめでとう〜」
「カカシ先生!こういう時だけ早く来ないで下さい!」
「だってぇ〜今日はナルトの誕生日だしぃ〜」
「気持ち悪いです」
「あ、ヒドイよ、サクラ」
「ナルト?」
黙りこくったナルトの顔を覗き込んだサクラの眼が驚きに見開かれる。
「なにあんた泣い──「あ、ありがとうってばよ!」
笑うナルトの頭をカカシが柔らかく撫でる。
「俺達はみんなナルトが好きだよ」
頷いて震えるナルトを見てカカシが頬を緩める。
「ほら、サスケ。お前も言うことあるでしょーよ」
「うるせーんだよ」
わかってる。わかってるんだよ。
大人の余裕が憎らしい。
ああ俺がもっと大人だったら簡単にお前を包んでやれるのに。
どうしてでてこない。
どうして。
どうして。
「へへっ…。別にいいってばよ?カカシ先生、サスケが可哀相だって」
そんな顔させたくなんかないのに。
「ほら、行くってばよ!」