忍U
□行き着く果て
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センセイ、って笑って懐くお前が酷く疎ましかった。
ねえ、お前がもし暴走したら始末するのは俺。お前を痛めつけても決して【最後】まではしない里のやつらとは逆に、普段はニコニコ笑っちゃってさ、優しくも厳しいいい加減そうな担当上忍の俺はきっと痛む時間すらないぐらいに一撃で仕留めちゃうんだよ。
だったらさ、俺って存在はお前にとって里の奴らなんかよりももっと【敵】なんじゃないの?
ねえ、それなのになんでそんなに俺なんかに懐いちゃったの。
センセイ、笑うお前の顔が頭から離れない。
常いかなるときも気を抜いたら忍者失格。頼れるものは結局のところ自分しかいないなんて知らないでやっていけるほど忍びは甘くない。
お前、ミズキの時に体験したじゃない。なのになんで馬鹿みたいに俺なんか信用しちゃうわけ?あの人のいい中忍だったら本当に最後までお前を守り抜くだろう。でも俺は違う。任務遂行を目的としてる俺はきっとお前の最大の敵になる。
それなのに。
なんでお前は俺を見て嬉しそうに笑うの?
センセイ、笑うお前の声が頭から離れない。
「センセイ?」
ちっとも最初から進んでいやしない本を閉じた。そうして少し億劫そうに自分の前で影になっているものを見る。
「えと、えとさ、その――」
いかにも面倒くさそうな俺の視線に耐えかねたのか焦ったように話し出そうとするがそれが返って子供らしく頭の中をこんがらせてしまったようだった。