□無題
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ナルトはサスケは自分勝手だと思う。

いつもすかした顔して、自分はもう子供ではないのだというような態度をして。確かに忍術は人よりも優れているかもしれないし、いくら鍛えてもまだまだ柔っこい自分の体とは違う逞しさがうかがえることもあるけれど、それでもやっぱりナルトはサスケを誰よりも子供で自分勝手だと思うのだ。











「好きだ」

突然好敵手――ナルトはたとえ誰からも認められないとしても信じている――から告げられた言葉にナルトは目を白黒させた。そしてこれはきっと冗談に違いないと思った。だって今までの態度のどこに自分を好きだと示していたものがあっただろうか。時には助けてくれたし、結構いいやつかもなんて思うことも確かにあったけれど、それでも自分に向けられた視線には暖かいものよりも皮肉げで、勝ち誇ったものが多かった気がする。

(ヒビリ君とかウスラトンカチだとかはてはドベだとか。とてもじゃないけど好きな人に向かって言う言葉じゃねえってばよ・・)

自分の大切な人には優しくするものだ。これはイルカからよくよく説かれたものであり、ナルトはそう信じている。だから自分はサクラを守りたいと思うのだし、逆に優しくされたいと願っているのだから。

「返事は?」

聞こえてきた声にいつの間にか落としていた視線を上げるとむっす〜とした顔が目に入った。


――だけど、こいつはそんなことないってば。

優しくされたいとも思わないけれど、だからといって告白してきた方の癖に仏頂面をしているのはどうかと思う。



「あー・・・ごめん?」

だからこんな風にでも返すしかないのだ。にへら、と笑い断りながらナルトはそう結論付けた。
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