□切られた糸
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『もう…遅ぇんだよ、ナルト』

ねぇ、何が遅かったの、サスケ?

もっと早く君への気持ちを言葉にしていたらよかったのか。

君はオレにとってやっとできた繋がりなのだと。
でも…オレってば、オレたちはわかりあえてると思ってたんだ。

言葉にせずとも…伝わっていると。

だけど、違ってた。

『最初から何も持っていなかったお前に何が分かる!』

歪められた、苦しそうな顔をしてお前が言ったのはそんな言葉で。

わかってた。
わかってたよ?

俺は他人から見たら何も持っていないこと。

じっちゃんは本当に俺のこと気にかけてくれたし

イルカ先生だって本当は俺のこと、他の人たちみたいに憎んだっておかしくないのに優しくて。

アカデミーに行ってシカマルやちょうじ、キバ、シノが他の人とは違う態度で接してくれて。
これが“友達”なのかなって思ったりした。

そうしてお前。
うちはサスケ

自分と同じひとりぼっちなんだって嬉しくて。

同じ班になってお前と一緒に修業したり競ったりするようになって

兄弟ってこんな感じかなって
そう思ったんだ。

オレの大切な人達。やっとできたオレの繋がり。

だけど
オレの繋がりは他人から見たら繋がりでもなんでもないってコトぐらい…わかってたよ?

見ないフリし続けてきたけど、
他の人に何を言われたって前を向いて生きてきたけど

お前に言われると堪えたわ、さすがに。

お前はオレを簡単に断ち切れた。でもオレはどうすればいい?

切られた糸をまた繋ごうとあがき続けてる。

切れて絡まった糸を直すのは、もう無理なのか。

なぁ、サスケ。
お前が遠いよ…。


e.
 

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