球
□一度だって勝てやしないのだ
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俺の誕生日ってツイてない。
だってテスト三日前なんだもん。それは中学入ってからずっとで、テスト前だからと蔑ろにされたらなんだか悔しいし、でも、レギュラーの皆みたいに当日に祝ってくれると申し訳ない気持ちになる。そんな微妙な日なんだ。
きっと高校生になってもそうなんだろうな。少なくとも俺が堂々と祝ってもらえるのは大学生になってからだ。
でも大学生になっても今みたいな、大きくなることにワクワクしてられるんだろうか。
もう誕生日なんてものに飽きて嫌な奴になっちゃってるのかも。
「それはないね。」
声に驚いて振り向くと不二がいた。
「なんでわかんだよー。っていうか俺の心の中読める方が不思議なんですケド」
この超能力者め、そういってやると不二は軽く肩を竦めてみせた。
「だって英二のって読みやすいんだよね、心の中」
ピキリ、と固まった俺に、あ、冗談だから、なんて言ってるけどむちゃくちゃあり得るから怖い。
「これ以上読んだらプライバシー侵害で訴えるかんね!」
思わず涙目になって睨んでも不二はただくすくす笑うだけだった。