球
□(未)
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「お前…。いぃかげんにしねーとキレるぜ、あーん?」
「だって、絶対嘘!!」
「嘘じゃねぇって言ってんだろ」
だってだってだって!
あの跡部が俺のこと好きなんて、信じられるわけないじゃにゃいかー!
跡部は超お金持ちなお坊ちゃま。二百人いる氷帝テニス部を率いるカリスマ部長。その跡部が俺を好きだなんて言い出したら信じる方がおかしい。俺は金持ちじゃないし、しがない五十人かそこらの部活のレギュラーなだけだし。しかもなんと言っても俺は男!
どーせなんかの罰ゲームかなんかなんだろ?!そう思って跡部を睨むと跡部はちょっと困ったように首をすくめた。
「どうすれば信じるんだ」
どうすればってどうやったって信じないのに。こんなに躍起になってるなんて相当代償が恐いのだろうか。だからって同情する気にもなれない。よぉし、困らせてやる!!
「じゃあ俺のどこが好きなのか言ってみてよ」
「なんだ、そんなんでいぃのか」
困るだろうと思っていた俺の質問は跡部にとって簡単至極なものだったらしい。
「今から言うから耳かっぽじいて聞けよ」
「う、うん……」
真剣な顔の跡部に呑まれて俺もつばをごくんと飲み込む。
「お前の好きな所は…」
「(ごくっ)」
「バカな所だ」