球
□僕の部活には魔王がいます
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僕の部活には魔王がいます。
「きっくまるビーム!」
「「「英二(先輩)ww」」」
「か〜。今日の英二先輩も最高だったよなあ、越前!!」
「そうっすね!」
「あの斜め三十八度の角度がたまらないな・・・」
「英二はどこから見てもかわいいよ。ダブルスパートナーの俺が言うんだから間違いない」
「油断せずにいこう」
「いや、部長それ意味わかんないっス・・」
菊丸先輩が部室に戻ってくるまで部室は今日の英二先輩への感想室になる。
いつもは長々と話ができないが、今日はちょうどいいことに菊丸先輩は不二先輩とコート整備の当番だった。
部室から見ながらの感想論に自然と熱気が帯びてくる。
「これ、この間撮ったんだが、よく撮れていると思わないか?」
そういって乾先輩がデータノートの中から取り出したのは一枚の写真。
・・・菊丸先輩のお着替え中写真。
一瞬みんな呆けたように写真を見つめ、その一瞬後には激しい奪い合いとなった。
「俺にくださいよ、乾先輩!海老カツバーガー奢りますから!!」
――うるさいよ、桃先輩。たかが海老カツバーガーで菊丸先輩の写真もらわれてたまるかっての。
「いや、俺がダブルスパートナーとして預かろう」
――どうでもいいけど大石先輩って『パートナーパートナー』言い過ぎじゃないっすか?菊丸先輩はシングルスで勝ったじゃん
「油断せずに行こう」
――いや、だから部長意味わかんないって。ていうかそれしかないんスか、台詞。
「乾先輩!俺のデータと交換ってのどうですか!?」
とっておきの言葉をいうと首を振り続けていた乾先輩の動きが固まった。
手の中の写真が震えている。今彼の中で究極の選択が行われているのだろう。もう一息だと思った。
「ついでに親父のデータもつけるっス!!」
勝利の女神は俺に微笑んだ。