球
□どうして君ってやつは(未)
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ああもう。
どうして君ってやつはそんなに。
「おっちび〜。帰り、桃とマック行くけどおちびも行く〜?」
「先輩のおごりならね」
「うわっ、またお前いたいけな先輩に奢らせる気〜?!ちょっとは遠慮ってもんを覚えろよ〜!!」
「そんなもの必要ないっス」
ねえ、どうして越前と話をするの?
どうして桃と一緒に食べに行くの?
ねえ、どうして僕だけじゃ駄目――?
「あっ、じゃあ不二先輩も行きましょうよ!」
「不二にまで奢らせる気だな、桃!」
桃の頭をぐりぐりしている英二が見てられなくて僕は首を振った。
「今日は遠慮しておくよ」
「そうっすか?」
「うん、ごめんね。じゃあお先に」
「お疲れっしたー!」
桃の大きな声にみんなが気づいて挨拶をしてくるのが今日は不愉快だった。
声なんかかけて欲しくなかった。
そのくせ、その声の中に彼の声がなかったことには敏感に気づいて傷ついてる自分に気がついて一人苦笑した。
『不二っていつもにこやかだけど疲れない?』
二年になってただ同じ部活ということしか接点のなかった彼と同じクラスになった。
なぜか席まで隣で。
正直彼のことが苦手だったから僕は必要最低限の会話しかしてなかった気がする。僕がそんな態度をとっても彼は文句も言わなかったし、反対側の友達と騒いでたから彼にとっても僕は苦手なのだろうと思ってた。
なのに。
ある日、本当に唐突に彼は言ったのだ。あのセリフを。