キリリクU

□bad friends
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「ごちそーさま」
「あんまり食べてないじゃないですか」
しゃべりたくないのに、普段自分がどれだけ饒舌なのか思い知る。
「ん、ごめん」
部屋に戻るとベッドに横になる。
周りの音も聞こえづらい。
八戒との会話もあいまいだ。
「悟浄、はいるぞ」
扉の方を見ると三蔵が立っていた。
「…お前耳聞こえないんだろ」
「な…んで」
「俺はノックをした。次に名前を呼んだ。でもお前は返事がない。」
「…ど…して」
「声も出しづらいんだろ」
「…」
「なんでいわねぇ」
三蔵の口が開閉するだけしかわからない。
「う、あ…わ…かん…な」
三蔵の姿がおぼろげになっていく。
目もおかしくなっているみたい。
世界を自分だけ切り取られたみたいだ。
まるでお前は一人だけの世界にずっといろって言われてるみたいで。
貴方が感じられない。
それが怖い。
「…さ…んぞ…ぉ…さん…ぞぉ…っ!!」
視界が暗い。
声も届かない。
声が聞きたいのに、聞こえない。
「さん…っ」
キス
「これなら、感じれるだろ?」
「あ…や…っ」
ジャケットを脱がし、タンクトップを胸までたくしあげる。
「お前が感じられないなら、」
ズボンのバックルをはずして下着ごと脱がした。
「俺がお前を感じさせる。」
「…ぇ…う」
声が聞こえない。
声も意味をなさない言葉しか発せられない。
三蔵の姿もおぼろげで至近距離なはずなのに。
「大丈夫だ、」
自分は、三蔵を感じることができない。

愛しい人なのに

もしかして、違う人かもしれないのに。

簡単に足を開いて、乱れてる。かもしれないのに

貴方を信じることができない。

不安なのに、伝えることも、聞きたい言葉も、愛しい貴方もミエナイ。


「…や…だァァァ!!!」
喉がしびれた。
耳も、音がしなくなった。
目が見えなくなったと同時に最後に見た光景は三蔵の驚愕の表情だった。
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