キリリクU

□cold
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屍が荒れ地に転がる。
「…で」
「あーなんか拍子抜けっつーか」
「やる気がかけますよねぇ」
「で、あいつはどうした」
もうひとりの姿が見えない。
三蔵は嫌な予感がした。
「…悟浄!!」
三蔵・八戒&悟空で双方に分かれて探した。
三蔵は屍の中に鮮血とはちがう赤をみつけた。
「…っ」
額には汗がにじんでいた。
苦しそうな顔。
「怪我してんのか…」
身体を抱き上げようとした時異常なくらい高い体温に三蔵は驚いた。
かたかたと震えているのも感じた。
今日一日でこんな症状になるわけがない。
と、言うことは隠していたという事になる。
(そんなに信用ねぇのかよ…)
抱き上げた腕に力を込めた。

「…」
固い地面とは感触の違う柔らかな感触。
額に感じる違和感。
触ってみると湿ったタオルの感触。
(あぁーばれちゃったのね)
「…ぁ」
声を出そうにも喉が痛くてうまく声が出ない。
湧き上がる体温。
よっぽど重症なのね…
「この馬鹿っぱ」
「さ…んちゃ…」
「なんで、黙ってやがった」
地を這うような低い声
三蔵がものすごく不機嫌な時にしか聞けない声。
「…メーワク…」
「そんなこと言ってんじゃねぇ」
黙る理由はなんだ。とさっぱり意味不明なことを聞く。
「…どーゆ…」
「俺が頼りになんねぇのか、ならはっきり言えばいいだろ」
違う―
そう言いたくても言えない
俺は、たくさんいろんな人に痛みを与えてきた。
だから俺に来る痛みは与えた痛み。
黙って受け入れなくてはいけないから――
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