頂き物

□Awareness and regret
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予定よりも早く仕事を終わらせ、いつもより数時間早くに会社を出た三蔵は足早に家への道を
歩いていた。
端正なその顔に浮かぶのは微かな焦り。
常にないその様子の原因は、彼の弟である悟浄にあった。
真紅の髪と瞳を持ち、日に焼けた肌は健康的な色。
野性的な色気を湛え、顔にある二筋の傷痕が勿体無いくらいの容貌を持った悟浄は、外見と
は裏腹に幼いころからあまり体が丈夫ではなかった。
今こそマシになってはいるが、小さな頃など肺炎や喘息で入院することなど珍しくはなかった
のだ。
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