短篇&キリリク

□例えば音のない世界で(1−6)
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君に、伝えない言葉がある

それは、秘めていた思い。

君と出会ってから僕の中で育っていった気持ち。

ずっと言えなくて封印していたこの言葉を・・・

今は言えないけど、でもいつかは伝えたいと思っていた。



−−−−−けど、それがもう二度と君に届くことがないなんて…。





 +例えば音の無い世界で+ SIDE・K





僕とアスランは、戦後…それぞれの場所に戻り平和への歩みを進めていた。

僕は、ラクスとプラントへ。
アスランは、カガリとオーブへ。

本当は、僕としてはアスランと離れたくはなかった。

幼いころのように、一緒の道を選びたかった。


でも、もう僕たちはずっと一緒にいるだけの仲良しでいられた子供ではなくて。

アスランには、アスランの。
僕には、僕の…やるべき事と、選ぶべきパートナーがいた。

そうと分かっていても、アスランとずっと一緒にいたくて…彼がいないと寂しくて…心が冷えていくようで。 
いつかは、彼の元へ行こうかと思っている。

片時も彼と離れたくないないて、我ながら乙女チックだとは思う。

でも、仕方ないのだ。
…求める相手を恋しく思うのは自然の摂理だろう。


だって、僕は、彼が…アスランが好きだから。


幼いころからずっと燻り続けていた恋情。
抱いてはいけない、禁忌の想い。

アスランと同じ性を持つ僕が、こんなことを思うのは罪なことだろう。

分かっているし、自覚している。

けれど、この想いは止まれそうになかった。


好きなんだ…。

彼が、どうしようもなく。


優しいエメラルドの瞳も、おせっかいすぎる性格も、夜のように深い髪も…。

理屈じゃない、言葉で表せないくらい深いふかい、思い。


だけど、彼には彼女がいるから。

彼には未来があるから。

だから、こんなこと…告げられても迷惑だろうし、邪魔なものだ。

だからずっと、封印していた言葉。

でも、後になって僕は後悔することになる。

なぜもっと早く、素直に想いを口に出さなかったのかと…。
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